コールマンジャパンに対する排除措置命令について
2016/06/20   コンプライアンス, 独占禁止法

はじめに

平成28年6月15日、公正取引委員会はコールマンジャパンに対して「再販売価格の拘束」(独占禁止法2条9項第4号)に当たるとして、排除措置命令を行ったことを発表しました。ここで適用された「再販売価格の拘束」とは何か、見ていきます。

事案の概要

公正取引委員会は平成28年6月15日、コールマンジャパンの「再販売価格の拘束」行為を認定し、排除措置命令を行った旨発表しました。
公正取引委員会の認定によれば、コールマンジャパンの取引は、直接小売業者に商品を販売する場合と、卸売業者を通して小売業者に商品を販売する場合とがあるようです。
そして、小売業者に直接商品を販売する場合、自身の販売するキャンプ用品(テントや寝袋、調理器具など)を小売業者に販売する際
(1)キャンプ用品の販売価格は、コールマンジャパンが定める下限の価格以上の価格とする
(2)キャンプ用品の割引販売は、コールマンジャパンの定めた場合、方法によるものでない限り認めない
という2つのルールを定めてキャンプ用品を販売した、というものです。
さらに、コールマンジャパンは、卸売業者を通じて販売する場合も、卸売業者に対して、継続して取引を行う小売業者や新たにコールマンのキャンプ用品の取引を希望する小売業者に、上記の販売ルールに従って取引をするよう求めたうえ、販売するよう要請もしました。

このような行為について、コールマンジャパンの商品を小売店が消費者に販売する際の価格を、上記の販売ルールに基づいて、コールマンジャパンが定めた下限以上の価格で販売するよう要請したこと、及び卸売業者を通じて小売業者に販売ルールを守らせようとしたことで、「再販売価格」の「拘束」と評価されたものと言えます。コールマンジャパンは価格を「商品Aは○○円」と限定していたのではありませんが、上記の通りブランド内競争を妨げる、という観点からは、下限以上の価格での販売を要請することも、再販売価格の拘束行為に当たります。

再販売価格の拘束とは

再販売価格の拘束(独占禁止法2条9項第4号イ、ロ)は、独占禁止法で禁止される「不公正な取引方法」の一種で、再販売価格(メーカーから商品を仕入れた小売店等が、商品を消費者に向けて販売する際の価格などをいう)の決定の自由を拘束することを言います。

これは、商品の価格競争を不当に妨げる影響があるとして禁止されています。
すなわち、本来再販売価格の決定は商品を販売する小売店などが自由に決定すべきで、その自由な決定が行われていれば、同じ商品でも小売店間で価格が違うわけですから、そこに価格競争が生じます(これをブランド内競争という)。しかし、再販売価格が拘束されれば、商品を仕入れた小売店は全て同じような価格で販売することとなるわけですから、上記の価格競争が起こらない、又は制限されることになってしまいます。そのため、再販売価格の拘束は禁止され、ブランド内競争も活発に行われるようになっている、というわけです。

排除措置命令について

排除措置命令は、独占禁止法違反行為が確認された場合に、その行為が継続されないよう、行為を行った企業に具体的な対策、措置を取るよう求める命令です。通常は、取引の際になされた条件の撤廃と、周知徹底などが求められます。

事案の場合には、主にコールマンジャパンが定めた販売ルールを付した取引を行わないこと、およびその旨の周知徹底を求める命令がなされました。また、今後独占禁止法違反行為がないよう、内部規定の策定なども求められています。

コメント

「再販売価格の拘束」による摘発は、談合などと比べれば事例が多いわけではありません。ただ、公正取引委員会の資料によれば、数年に1度、摘発がなされています。また、再販売価格の拘束行為を繰り返し行えば、課徴金納付の対象にもなりうる(独占禁止法20条の5)こと、公正取引委員会による摘発がなされれば、企業イメージがダウンしてしまうことなどを考えれば、無視してよいものではありません。
価格競争に巻き込まれたくない、などの理由から再販売価格の拘束が行われる、ということも大いにありうることであり、どの企業にとっても、巻き込まれる可能性のある規制であると言えます。
この事例を機に、法務として独占禁止法の規定に対応できるものであるか、摘発のおそれがないかという点について、取引先との契約内容の見直し等を行ってみてはいかがでしょうか。

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