LGBTの社員への対応策と今後の課題
2016/05/23   コンプライアンス, 危機管理, 民法・商法

昨今、テレビでのいわゆる「オネエタレント」と呼ばれる人々の活躍はめざましい。このことは、いわゆるセクシャルマイノリティーと呼ばれる人々の存在が社会的に承認されつつあることを反映しているといえるのではないか。また、このようなセクシャルマイノリティーに属する社員及びその配偶者に対する企業の対応の仕方も今まで通りの対応を突き通してしまえば、時代遅れになる可能性は高い。そこで、セクシャルマイノリティーの総称であるLGBTである社員等に対する企業の今後の体制のあり方について検討する。

LGBTの定義

 まずは、検討の対象となる「LGBT」の定義について述べる。「LGBT」とは、Gay,Lesbian,Bisexual and Transgenderの頭文字をとった総称である。つまり、性的少数者の総称である。

LGBTに対する社会の反応

 従来の日本社会は欧米に比べて、自分が性的少数者であることを宣言して生きていくことは社会的にも家族的にも半ばタブー視扱いされてきている。また、LGBT本人も自分のこのような属性を社会に対して宣言して生きていくこともほぼ困難な状況であった。

社会のLGBTに対する理解の変化

 このような状況下、LGBTの置かれている環境に変化が訪れたのは、1970年代に入ってからである。その変化とは具体的には、主にゲイが中心となって性的マイノリティーに対する差別撤廃を掲げた「プライド」と称されるパレードその他の活動を始めたことである。このような活動により、性的マイノリティーの人々の心の叫びは社会にまで届いたといえる。また、オランダ等の欧州では、同姓結婚を法的に認めたことで同性結婚の拡大は相次いだ。このような欧米各国の活動は、少なからず日本の社会に対するLGBTと呼ばれる人々に対する見方も欧米寄りの良い方向に変化してきたといえる。

現在の日本におけるLGBTへの対応策生活部門

現在で話題になったのは、渋谷区が同姓カップルにパートナーシップ証明書を発行したことである。同証明書を発行してもらえば、一定の生活場面において法律婚における配偶者や異性間の内縁関係にある男女とほぼ同等の取扱いを受けることが出来る。具体的には、住宅ローンや生命保険については、当該企業が認めた場合に限ってではあるが、パートナーとしてサービスを受けられる。また、携帯電話サービス会社の一部も、同姓カップルに家族割引の適用範囲を拡大している。以上のように、生活部門においては、同姓のパートナーを異性間のパートナーと同じく取り扱う場面が多くなりつつある。

現代の日本企業のLGBTとそのパートナーに対する社内対応

 最近では、例えば、日本マイクロソフト株式会社では、就業規則において社員等がLGBTであることを理由とする差別的取り扱いを禁止している。このような就業規則を策定することは、結果として企業のLGBTに対する風通しをよくする効果を期待できる。また、社内における結婚のお祝い金の条件を配偶者からパートナーにまで適用範囲を拡大して運用している企業もある。

 このような企業の具体策をふまえると、確かに、企業内のLGBTに対する社内対応は従来より柔軟になりつつある。しかし、いまだ社内のLGBT対応策については、「その必要性が生じてから」と懐疑的な企業が圧倒的に多い状況にある。今後LGBTを含む多様な人材が輝ける環境を作るためには各企業においては、就業規則の内容を変更する必要に迫られているといえる。また、LGBTに関する社内でのヒアリングを実施する際には、対象者の人権・名誉・プライバシーを不当に侵害しないよう、実施者にも相応の配慮が求められる。具体的には、例えば社員の1人がLGBTであることをカミングアウトした際の社内全体の対処法については、あらかじめ企業が一般社員に向けて研修を実施して当該会社の対応策を周知徹底させることが考えられる。

最後に

 LGBTという一つの属性が社会で承認されつつあるとしても、彼ら・彼女らは尊厳ある1人の人間であることに変わりはない。彼ら・彼女らの社内環境を改善することは、企業の社会貢献につながることを各企業の経営者には是非とも自覚して頂きたい。

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