ドローン規制強化への動き
2016/03/17 法改正対応, 法改正, その他

改正航空法
昨年4月、微量の放射性物質を搭載したドローンが首相官邸に墜落するという事件を受け、ドローンに対する法規制が進められてきました。その一環として昨年9月に航空法が改正されました。その主な内容は以下のとおりです。
(1)無人航空機の追加
従来航空法では人が乗って操縦する有人航空機だけを想定して規定されていました。そこに新たに無人航空機に関する項目が追加されました(2条22号、9章)。ここに言う無人航空機とは重量200g以上の飛行機、回転翼機、滑空機、飛行船で遠隔操作、自動操縦により飛行でき人が乗ることが出来ないものと規定されています(2条22号、施行規則5条の2)。つまり重量200g未満の玩具のドローンは含まれず規制対象外ということになります。
(2)飛行禁止空域
改正航空法では国土交通大臣の許可無く無人航空機を飛行させてはならない、飛行禁止空域の規定が追加されました(132条)。①まず航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがある空域として省令で定めるものが規定されております。具体的には空港やヘリポートの進入帳面、移転表面、水平表面等の上空を言います(施行規則236条)。簡単に言うと成田空港等の国際空港では周囲24km以内、それ以外では概ね6km以内の空域が該当します。②次に人口集中地域の上空が規定されております。これは5年毎に実施される国勢調査により、人口密度が1平方kmあたり4000人以上の地区が該当します。東京23区や県庁所在地はほぼ該当することになると言えます。なお、これらの区域内であっても建物の中といった屋内は該当しません。
(3)飛行方法
飛行空域にかかわらず、無人航空機を飛行させる場合には以下の方法により行わなくてはなりません。ただし国土交通大臣の承認がある場合は適用されません(132条の2)。①日出から日没まで②航空機及び周囲の状況を常時監視すること③人又は物件と一定の距離を保つこと④祭礼、縁日、展示会等の上空以外で飛行すること⑤爆発性、易燃性その他の危険物を搭載しないこと⑥無人機から物件を投下しないこと、が規定されております。
ドローン飛行規制強化法
17日成立したドローン飛行規制強化法では、以上の改正航空法による規制以外に以下の新たな規制が盛り込まれました。①国会議事堂、首相官邸、皇居、原発等の重要施設の敷地及びその周辺300mを周辺地域とし、その上空を飛行禁止区域に指定②飛行させた場合は警察官が退去を命じ、従わない場合、又は操縦者が見つけられない場合はドローンの飛行の妨害、破壊ができる③違反した場合には1年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科す。
コメント
近年急速に発達したドローン。小型軽量ながら極めて高画質の映像を上空から手軽に撮影でき、静粛性にも優れ、操縦も容易でありながら価格も安いことからユーザーは世界規模で爆発的に増加しました。同時にこれを使った犯罪、トラブルも増加の一途をたどっています。一方でその便利さから、新たなビジネス、業務に活用する動きも出てきています。通販大手アマゾンが配達に利用する計画を発表し話題を呼びました。また建築業界でも現場の上空写真や、建築物の状態などの空からの確認に利用され始めております。ドローンは用法と法規制を守ればとても便利で有用なツールとしてまだまだ多くの可能性を秘めていると言えます。規制内容を確認した上でドローンの活用を積極的に考えていくことも有益だと思われます。
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