【法務NAVIまとめ】有給休暇「時間単位取得制度」まとめ
2015/11/02 労務法務, 労働法全般, その他

働きやすい職場環境の構築に役立つ「時間単位取得制度」。従業員のワークライフバランス向上につながります。
労働基準法39条は年次有給休暇について規定しています。6か月以上継続勤務し、かつ8割以上出勤した労働者に対して、10日間の有給休暇が与えられることになっており、勤続年数に応じて増加していきます。従来は日単位、または半日単位での有給取得が認められていましたが2010年、労基法改正により、時間単位での有給取得が認められるようになりました。
時間単位取得制度を導入した場合には次のようなメリットがあります。この制度を導入することによって、1日のうち3時間だけ早く退社する、2時間遅く出社するといった有給の取り方ができ、従業員がよりフレキシブルに休暇を取得することができるようになります。従業員の職場環境への満足度が上がり、従業員の定着率につながるようになるでしょう。逆にこの制度を導入することによって従業員の労働時間管理がより煩雑になるというデメリットもあります。10月15日厚生労働省発表の「就労条件総合調査の概況」によると実際にこの制度を導入している企業は1割程度となっていることから、多くの企業がこの点を敬遠していると思われます。
時間単位取得制度を導入する要件は次の2点です。
(1) 就業規則の変更
対象となる従業員、年次有給休暇に相当する時間数、1単位の時間、給与支払方法を就業規則に追加した上で労働基準監督署に届けることになります。
具体的には「対象者は全ての従業員。」「所定労働時間8時間の者は8時間」「時間単位年休は1時間単位とする。」「年次有給休暇で支払われる給与は、通常の給与の1時間あたりの額に取得した単位時間を乗じたものとする。」等記載することになります。
(2) 労使協定の締結
上記就業規則に追加する内容に加えて、1年に時間単位で取得できる有給の日数(最大5日)、取得方法を労使協定で締結します。
具体的には「時間単位で取得できる日数は1年間に5日とする。」「取得するに際しては、遅くとも前日の終業時刻までに、所属長に報告するものとする。」等記載することになります。
出典:
- 人事労務の窓-時間単位の有給休暇でリスク回避!その導入方法と注意点
- 経営情報レポート-時間単位有給休暇の活用法(リンク切れ)
- 愛媛労働局-時間単位の年次有給休暇に関する労使協定例
時間単位取得制度は、労働者にゆとりのある生活を確保することを目的に規定された年次有給休暇の取得率向上を趣旨としています。他方で、企業にとっても、この制度を導入することで従業員の労働環境やワークライフバランスを重視しているとアピールすることができ、イメージアップにつながるものだと言えます。
関連コンテンツ
新着情報

- ニュース
- 東京地裁がツイート画像を著作物と認定、著作権法の著作物について2025.10.14
- NEW
- ツイッター(現X)の投稿をスクリーンショットした画像を無断転載されたとして、転載したアカウント...

- 解説動画
大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間

- セミナー
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【オンライン】新サービス「MNTSQ AI契約アシスタント」紹介セミナー
- 終了
- 2025/04/22
- 14:00~14:30
- 弁護士
- 松田 康隆弁護士
- ロジットパートナーズ法律会計事務所
- 〒141-0031
東京都品川区西五反田1-30-2ウィン五反田ビル2階

- 業務効率化
- 鈴与の契約書管理 公式資料ダウンロード

- 解説動画
加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号

- まとめ
- 今年秋施行予定、改正景品表示法の概要2024.4.25
- 昨年5月に成立した改正景表法が今年秋に施行される見通しです。確約手続きの導入や罰則規定の拡大...

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード