青少年雇用促進法成立へ
2015/03/26 労務法務, 労働法全般, その他

青少年雇用促進法成立へ
政府は、「青少年の雇用の促進等に関する法律案」を17日に閣議決定し、20日に国会に提出した。同法が成立すれば、悪質なブラック企業からの新卒求人をハローワークが拒否することが出来るようになる他、企業が離職率などの職場情報を、就職活動中の学生らに提供するよう促す仕組みも導入される。他方で、離職率の低い中小企業に対しては、若者が働きやすい企業と認定し、助成金を出すほか、企業が求める人材の採用を支援する仕組みが導入される見込みだ。
背景
若者を大量に採用し、使い捨てるように扱うブラック企業が社会問題化したことや、若者が、就職活動中に抱いた会社のイメージと現実がかけ離れていることを理由として、入社後3年以内に離職する割合が3割以上に上ることが問題となっていた。
青少年雇用促進法成立により、ハローワーク新卒求人に対する信用を高めることや、職場に対するイメージを持ちやすくすることで、若者の離職率の低下を図ることが期待されている。また、中小企業としても、助成金や人材確保の点で有利になるような仕組みが成立することで、メリットがある。
青少年雇用促進法のポイント
①ハローワークは、一定の労働関係法令違反(残業代不払い、セクハラ等)があった求人者について、新規学卒者の求人申込を受理しないことができる(公共職業安定所は、「求人の申込はすべて受理しなければならない」と規定している職業安定法第5条の5の特例)。
②新規学卒者の募集を行う企業は、青少年の募集・採用の状況、職業能力の開発・向上並びに職場への定着の促進に関する取組みの状況などを提供するよう努めるとともに、応募者から求められた場合は、これらの情報を提供しなければならない。
➂青少年に係る雇用管理の状況が優良な企業(規模300人以下)について、厚生労働大臣による新たな認定制度を創設する。
コメント
青少年雇用促進法には問題も多い。たとえば、同法は新卒求人のみを対象としており、中途採用については改善がなされていない。また、ブラック企業対策という点でいえば、新卒求人の多くはリクルート社のような民間事業者を通じたものであり、ハローワークが新卒求人を制限することによる効果は限定的なものに過ぎない。
また、②記載の情報提供義務についても、どの情報を提供するかといった提供情報の内容の選別は各企業の判断に任されており、若者が知りたい企業情報を知れるとは限らず、効果が限定的になる恐れもある。
とはいえ、特に中小企業においては、ハローワークで求人が拒否されている等の事情は企業ブランドを大きく損なうものであり、人材確保の点でも多大なリスクを負うことにもなろう。コンプライアンス体制の構築を含めた、自助努力が必要となる。
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