独占禁止法に新ガイドライン、選択的流通とは!
2015/03/25   独禁法対応, 独占禁止法, その他

選択的流通の導入

 平成27年2月5日、「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」(以下「流通・取引ガイドライン」)の一部改正(案)(以下「改正案」)が公表された。流通・取引慣行ガイドラインとは、事業者が独占禁止法に違反せず安心して適法に事業活動を行えるようにすることを目的として、公正取引委員会が、流通・取引慣行のうちのどのような行為が独占禁止法に違反するかについて規定したものである。
 以前本稿では、改正案で記された、垂直的制限行為の規制についてとりあげたが、今回は『選択的流通』について取り上げてみたい。

選択的流通とは?

 選択的流通とはメーカーが一定基準を満たした流通業者に限定して自社商品の取扱を認める場合に、当該流通業者に対して自社商品の取扱を認めていない流通業者への転売を禁止することをいう。
 改正案においては、上記メーカーの設定基準が当該商品の品質保持、適切な使用の確保等、消費者の利便性の観点からそれなりの合理的理由に基づくものと認められる場合には、その結果特定の安売り業者が基準を満たさず、当該商品を扱えないとしても、通常問題にならない旨規定された(改正案第2の5)。
 一般に、商品・サービスといったものはメーカー、卸売業者、小売業者というチャネルを経て消費者に提供されるものである。選択的流通はメーカーが希望する流通チャネルを確保するために基準を満たした流通業者が基準を満たさない流通業者に対し、当該メーカーの商品を提供しないことに特徴がある。

従来からある規定

 従来から取引先に関する制限として「帳合取引の義務付け」と「仲間取引の禁止」が規定されているので、両規定について概観する。
 帳合取引の義務付けとはメーカーが卸売業者に対して、販売先である小売業者を特定し、小売業者が当該卸売業者としか取引できないようにすることである。また、仲間取引の禁止とはメーカーが流通業者に対して商品の横流しをしないように指示することである。
 いずれの行為も当該商品の価格が維持されるおそれがある場合には拘束条件付取引(一般指定12項)に該当し、不公正な取引方法(独占禁止法19条)として違法となる。

従来の規定と選択的流通の関係

 ①共通点
 帳合取引の義務付けはメーカー側が一定の基準を設けて間接的な取引先を限定する点、仲間取引の禁止 は流通業者による一定の商品横流しが禁止されるという点で各々選択的流通と共通する。
 ②相違点
 帳合取引の義務付けはメーカーの直接の取引先たる卸売業者は特定の小売業者としか取引できないのに対し、選択的流通では基準を満たさない流通業者に対する販売が禁止されるにすぎない。仲間取引の禁止は流通業者同士の商品の横流しを禁止するものであり、選択的流通は基準を満たした流通業者同士の販売をなんら禁止するものではないという点で異なる。

企業の法務担当者として

 例えば、こんな事例を想定して欲しい。
 化粧品メーカーが商品のブランドイメージ維持、適切な使用方法により商品の効能を実現することを目的として以下のような措置を講じた。
 ①小売業者に対して対面販売による商品説明を義務付ける
 ②卸売業者、小売業者に通信販売を行う業者に対する販売を禁止する

 この事例でいえば、①は販売方法の制限として拘束条件付取引が問題になると思われるが、まさに②は選択的流通が問題となる場面である。本事例では化粧品メーカーが流通業者に対して対面販売を義務付ける理由が化粧品の品質保持、適切な使用の確保等、消費者の利便性の観点からそれなりの合理的理由に基づくものと認められる場合で、他の流通業者にも同等の基準が適用されれば問題とならないといえる。
 選択的流通という概念は今回新たに導入されたものではあるが、特段ビジネスモデルの選択可能性を広げるものではないと思われる。しかしながら、取引先、販売方法の制限によって行われてきた行為が選択的流通という概念で整理できることにはなろう。特にメーカーの企業の法務担当者はブランドイメージを確保するための選択的流通がどのような場合に認められるのかを意識すると共に、商品に合った流通チャネルを選択し、商品にあった販売方法を構築する視点を忘れないことが必要となる。

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