社外取締役選任で企業に活力を
2015/03/13 商事法務, 会社法, その他

社外取締役のニーズの急増
昨今、会社法改正や株式市場の指針を受け、独立性の高い「社外取締役」を選任する企業が増えている。社外取締役が第三者の視点で経営を監督することで、日本企業の収益性や国際競争力が向上することが期待されている。
社外取締役とは
社外取締役とは、その名の通り、社外にいながら取締役を務める人を言いう。社外取締役は社内に常駐するわけではなく、取締役会などの会合があるときだけ出席し、議決権を行使することで第三者的な立場から経営判断に参加する。社外取締役の客観的独立性を確保するために、会社法上、当該会社と一定の親密関係にある者は社外取締役になることが禁止されている。
社外取締役に期待されている役割
社外取締役に期待されている役割は大きく分けて4つに分けられる。①経営者(業務執行者)の「監督」(ガバナンス)、②コンプライアンスの強化、➂新規事業開発・マーケティング、M&A等への専門的なアドバイスが期待できる、④投資家対策である。
社外取締役を選任する企業が急増
以前から、委員会設置会社(会社法2条12号)においては取締役の過半数が社外取締役であることが必要であり、大企業を中心に社外取締役が選任されていたが、以下の事情も加わって、社外取締役を選任する企業が急増している。
(1)東京証券取引所上場規則の一部改正
東京証券取引所は、2014年2月5日に、上場会社において社外取締役である独立役員(一般株主と利益相反が生じるおそれのない社外取締役又は社外監査役をいう。)を少なくとも1名確保する努力義務を要求する、上場規則の一部改正をした。
また、2015年2月22日には、同所は上場企業に対し、独立性が高い社外取締役を2名以上選ぶように促す上場規則案をまとめた。2人以上選任しない場合に企業は理由を説明する義務があるとし、説明しない企業には罰則を適用するとしており、社外取締役の複数選任義務化の流れが確立されつつある。
さらに、2015年3月5日に、東証及び金融庁の有識者が取りまとめた、コーポレートガバナンスコード原案においても、上場会社は独立社外取締役を少なくとも2名以上選任すべきであるとの原則が提案されている。
(2)会社法改正
2014年改正に改正された会社法においても、監査役会設置会社(公開会社かつ大会社)であって株式について有価証券報告書を提出しなければならない会社が社外取締役を置いていない場合には、取締役は、定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければならないことになった(改正法327条の2)。これにより、特定の企業ではあるものの、事実上、社外取締役の選任が義務付けられるようになった。
(3)社外取締役を選任する企業の急増
このような法改正等を受けて、社外取締役を選任する上場企業は急増している。
東京証券取引所が2014年7月25日に発表したところによると、東証第一部上場企業のうち、社外取締役を選任する上場会社は前年度の62.3%から12.0%上昇し、全体の74.3%に上っている。
今後も上場企業や、上場を目指す企業、海外展開を目指す企業を中心として、社外取締役の選任状況は加速するものとみられる。
コメント
社外取締役の目的が、第三者的な視点から業務の監督・アドバイスをする事にあることからすれば、まったく業界に精通していない人物を会社に迎え入れることには、あまり意味がないだろう。また、コンプライアンスの点からも法律に明るい者が社外取締役に就任することが望ましいといえよう。
弁護士の増加に伴い、業界に精通した弁護士も増加してきており、法律専門家としての弁護士を社外取締役として選任する企業の増加が予想される。
本サイトに社外取締役についての詳細なレポートを作成したので、是非一読して頂き、今後の事業展開の参考にしてもらえれば幸いである。
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