TPP交渉いよいよ大詰めへ!著作権保護はどうなる?
2015/02/18   知財・ライセンス, 著作権法, その他

議論を呼んだTPP、いよいよその交渉が大詰めへ

今月1日より、アメリカ・ニューヨークにて7日間の日程で、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加している12カ国による主席交渉官会合が行われました。日本国内でも各界において議論を呼んだTPP交渉がいよいよ大詰めを迎えています。
そこで、今回はTPP交渉の中でも参加各国が「最大の課題の一つ」と挙げる知的財産保護、とくに著作権の保護について、現在どのような方向で話がまとまりつつあるのか調べてみました。

TPPにより日本の著作権保護はこう変わる!

①著作権の保護期間を原則70年間とすることで調整
現在の日本における著作権の保護期間は、作者が特定できるものは作者の死後50年、匿名もしくは団体名義の著作物については公表後50年が著作権の保護期間となっています(ただし、映画についてのみ原則公表後70年)。TPP交渉参加国の中で、著作権の保護期間が原則50年とされていたのは、日本、カナダ、ニュージーランドでしたが(公益社団法人著作権情報センター)、NHKニュースなどによれば、今回のTPP交渉では、各国がアメリカに合わせて、著作権の保護期間を著作者の死後または公表後70年とすることで調整を進めることになったとのことです。
このように著作権の保護期間が日本においても70年に延長されると、今後20年間、保護期間が終了して新たにパブリックドメインとなる作品がなくなる、ということになります。
*パブリックドメイン・・・、著作物や発明などの知的創作物について、知的財産権が発生していない状態又は消滅した状態のこと。

②著作権侵害が「非親告罪」となる方向へ
日本においてはこれまで、著作権侵害は主に親告罪とされ、著作権者が告訴をしない限り公訴提起をすることができず、刑事責任を問うことができないとされてきました。
NHKの報道によれば、アメリカなどが著作権侵害の「非親告罪化」に賛成、これに対し、日本はこれまで慎重姿勢を貫いてきました。しかし、先月末から今月はじめのTPP交渉において、各国が「非親告罪」の適用範囲について各々判断できる余地を残す案が示されたことで、日本もこの「非親告罪化」を現在受け入れる方向で調整に入ったとのことです。

コメント

まず、著作権保護の期間が70年に延長されることについては、自ら映画やキャラクターを製作し、そのコンテンツで幅広く収益を上げる企業にとってはメリットがあるでしょう。一方で、昨今急速に一般に広まりつつある電子書籍では、著作権の保護期間の切れた過去の名著が安価で配信され、これが人気コンテンツの一つとなっていますが、著作権の保護期間が延長されればこのようなサービスの普及にもブレーキがかかりかねません。加えて、オーストラリアでは著作権保護期間を延長すると、海外に支払う著作権の使用料がおよそ8800万ドル増加するとの試算もあり、著作権の保護期間延長には、その恩恵を受ける側、そしてそれにより多大なダメージを受ける側が大きく二分されそうです。日本についてみてみると、独自のアニメやキャラクターを用いてビジネスを展開する企業も多いため、著作権保護期間延長に関しては、“恩恵を受ける”ことになる企業も少なくないかもしれません。
しかし、著作権侵害の「非親告罪化」については、必ずしも日本がその“恩恵を受ける”側になる、とは言いにくい事情があります。すなわち、日本のアニメや漫画文化は、既存のアニメや漫画のキャラクターを利用してパロディーやオマージュを作るという“二次創作”を通じて、その裾野が広がってきたという面が否定できません。そして、二次創作によりオリジナルの認知度が広まれば、オリジナルの著作者も新たな読者やファンを獲得できる可能性が広がるため、著作者自身が二次創作を黙認しているとう現状も少なからずあります。しかしながら、著作者以外でも著作権侵害を告発できるようになる今回の「非親告罪化」は、このようにある程度の“グレーゾーン”をあえて黙認することで発展してきた日本のアニメ文化の構造を、大きく覆してしまう可能性があると言えるでしょう。
現在、日本は官民を挙げてクールジャパン戦略を推進していますが、著作権が大きく絡むアニメ・漫画などは、現在日本が世界に売り込んでいる文化の筆頭です。「著作者の利益保護」と「日本のアニメ・キャラクター文化の世界展開」の方向性に大きな影響を与えるTPPについて、交渉締結の最後の最後まで、まだまだ目を離せません。

関連サイト

著作権の保護期間はどれだけ? 公益社団法人著作権情報センター

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