企業の喫煙対策の重要性を考える
2015/02/12 法務相談一般, 民法・商法, その他

事案の概要
先月5日、株式会社リコーは、健康増進と受動喫煙防止目的として、社内での喫煙及び就業時間内の喫煙を全面的に禁止とした。同社における喫煙対策の注目すべき点は、社内のみならず、休憩時間を除く標準勤務時間での、外出先、出張先、移動中を含めたあらゆる場所での喫煙を対象としていることである。外出先での禁煙は受動喫煙の問題を伴わないことから、同社の禁煙対策は喫煙対策を一歩進めたものとして注目されている。
喫煙対策は企業の義務
判例によると、職場における受動喫煙対策を講じなかったことが、非喫煙の従業員に対する安全配慮義務違反(労働契約法5条)とされた事案が存在する。また企業は健康増進法25条や労働安全衛生法22条、23条、71条の2により、施設管理者および事業者として、受動喫煙防止義務を負う。
企業が受動喫煙防止の義務を果たしていない場合、従業員から損害賠償を請求される可能性がある。たとえば、受動喫煙損害賠償に関する東京地裁平16.7.12判決では、訴額約30万円の請求について、5万円の慰謝料が認められた。
コメント
喫煙がもたらす副流煙による他者への影響を考えると、喫煙は一定の制約を免れないものである。さらに、喫煙習慣が労働効率の低下の一因となっているとも言われている(関連サイト「喫煙と労働効率について」参照)。このような事情を踏まえると、社外においても禁煙を徹底することが合理的といえるだろう。今回のリコーの喫煙対策はセンセーショナルに捉えられたが、今後同様の企業は増加するものと思われる。
また、全面禁煙の徹底を考えれば、採用段階で「喫煙しない」ことを採用の条件とする企業も今後増加するだろう。
安全配慮義務違反というだけではなく、企業の生産性の向上、企業のブランドイメージの保護、喫煙者本人の健康促進といった側面から、喫煙対策は今後徹底されていくことになると思われる。
関連サイト
関連コンテンツ
新着情報

- まとめ
- 今年秋施行予定、改正景品表示法の概要2024.4.25
- 昨年5月に成立した改正景表法が今年秋に施行される見通しです。確約手続きの導入や罰則規定の拡大...
- 弁護士
- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階

- 解説動画
大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間

- セミナー
片岡 玄一 氏(株式会社KADOKAWA グループ内部統制局 法務部 部長)
藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【オンライン】CORE 8による法務部門の革新:企業法務の未来を創る!KADOKAWAに学ぶ プレイブック×AIで切り拓く業務変革
- 終了
- 2025/06/30
- 23:59~23:59
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号

- 業務効率化
- 法務の業務効率化

- 解説動画
江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分

- ニュース
- コンゴ共和国 - 新たな実質的支配者報告義務2025.7.4
- コンゴ共和国(コンゴ・ブラザビル)は、実質的支配者(UBO)に関する新たな規則を導入しました。...

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード