〈自転車通勤〉企業のルール整備に必要な内容は?
2014/10/31   法務相談一般, 民法・商法, その他

自転車保険加入の義務化、全国初の条例案

 今月20日、兵庫県知事が、自転車購入者に自転車保険の加入を義務付ける条例案を来年2月にも県議会に提案することを表明しました。
 エコブームや健康志向から自転車を利用する人が急増し、自転車と歩行者の事故が増えてきていることがその背景にあるとのことです。
ところで、自転車による事故が起こった場合、自転車通勤を容認する企業では、企業の「使用者責任」を問われる可能性を想定しなければなりません。
そこで、企業としては、自転車通勤のリスクを十分に検討し、そもそも自転車通勤を認めるかどうか、認めるならば、どのような条件で認めるべきか等のルールを整備する必要が生じてきます。
このようなことを踏まえて、今回は、自転車通勤を認める場合の企業が行うルール整備の内容について、いくつか紹介したいと思います。
※「使用者責任」とは、従業員等が不法行為によって第三者に損害を与えてしまった場合に、それが会社の勤務中など事業に密接に関係する行為と認められたときには、その会社が損害賠償を負うというものである。(民法715条参照)

ルール整備の内容

1.許可基準の策定
①「自転車」の定義
 自転車にもいろいろな種類があります。前輪または前後輪にブレーキがないピストバイクは、法律上公道を走ることが禁止されています。自転車通勤の「自転車」に何を含めるのか、明確に定めておくことが必要です。
②民間保険の加入
 もし、事故を起こし、通勤者本人に支払い能力がなければ、自転車通勤を容認した企業に使用者責任が及ぶおそれがあります。
 そこで、民間保険への加入を許可条件とすることも必要となります。
③運転者の資格や禁止事項
 過去の自転車利用に関する道路交通法の違反歴や疾病その他の状態により運転が可能かどうか、通勤距離などから自転車通勤が妥当かどうかといった運転者の資格だけでなく、運転中の禁止事項(例えば、飲酒運転や携帯電話を使用しながらの運転の禁止)を定め、道交法の遵守を徹底させ、違反者には許可の取消しなどの罰則を定めることが必要です。
2.通勤費、駐車場
①通勤費の支給の有無、金額
 通勤手当の支給自体は法令で求められているものではありません。しかし、自転車通勤では、自転車のメンテナンス費用がかかります。これを個人負担とするのか、会社負担とするのかなどについても考慮する必要があります。また、雨の日など公共交通機関を利用すれば、実費を精算する必要も出てきます。これらを踏まえたルールを明確に定めておくことが必要となります。
②駐車場利用義務
 近年は、放置自転車が各自治体で問題視されており、自転車の違法駐輪を黙認することがあれば企業の管理責任が問われるおそれもあります。
 そこで、企業で駐輪場を準備する場合には、指定した場所に駐輪することを義務付ける必要があります。また、従業員が駐輪場を準備する場合には、書類等を提出させ確保したことを確認する必要があります。
3.関連規程・書式の整備
 ルールを決めたならば、それを「自動車通勤規程」として整備し、自転車通勤の希望者には「自動車通勤許可申請書」などを用意しておくことが必要です。

関連サイト

自転車買ったら保険加入義務 兵庫県、全国初の条例案
従業員の「自転車通勤」への企業の対応は?

シェアする

  • はてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • 資質タイプ×業務フィールドチェック
  • TKC
  • 法務人材の紹介 経験者・法科大学院修了生
  • 法務人材の派遣 登録者多数/高い法的素養

新着情報

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビの課題別ソリューション

企業法務人手不足を解消したい!

2007年創業以来、法務経験者・法科大学院修了生など
企業法務に特化した人材紹介・派遣を行っております。

業務を効率化したい!

企業法務業務を効率化したい!

契約法務、翻訳等、法務部門に関連する業務を
効率化するリーガルテック商材や、
アウトソーシングサービス等をご紹介しています。

企業法務の業務を効率化

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビに興味を持たれた法人様へ

企業法務ナビを活用して顧客開拓をされたい企業、弁護士の方はこちらからお問い合わせください。