胆管がんで印刷会社を略式起訴
2014/10/17 労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要
大阪市の印刷会社「サンヨー・シーワィピー」で元従業員17人が胆管がんを発症し、9人が死亡した問題で、大阪区検は同社とその社長を労働安全衛生法(以下、「労安法」とする)違反の罪で略式起訴した。
起訴状によると、同社は、2011年4月から2012年4月までの1年間に、従業員50人以上の事業所に義務づけられている衛生管理者や産業医の選任を怠り、また衛生委員会を設けなかったとされる。
一方、大阪地検は、「不適切な衛生管理で胆管がんの発症を招いた」として業務上過失致死罪の適用も検討していたが、当時、胆管がんの発症原因と推定される「ジクロロメタン」の危険性は一般的に知られておらず、従業員の胆管がんの発症を会社側が予測するのは困難であったとして、同罪での立件は見送ったとみられる。
コメント
今回、会社と社長は、労安法12条・13条・18条に違反するとして起訴された。労安法12条1項では「衛生管理者」の選任が、労安法13条1項では「産業医」の選任が義務づけられている。衛生管理者は衛生に係る技術的事項を管理することになっており、産業医は労働者の健康管理等にあたることになっている。また、労安法18条1項では、「衛生委員会」を設けなければならないこととされている。衛生委員会とは、労使が一体となって労働災害防止のための取組を行う組織である。そして、これらの規定に違反した場合には、「50万円以下の罰金」に処するとされている(労安法120条1号)。
昨年、大阪労働局が行った調査によると、業種・規模を問わず選任が必要な衛生管理者・産業医の未選任事業場はそれぞれ42.9%、32.2%であった。特に、産業医は、労働者の健康管理や事業場の作業環境管理を職務としていることから、産業医が選任されていれば、今回のような被害の拡大は防げた可能性が高かったと考えられている。
今後、同様の事件を防ぐためにも、経営者の意識改革など産業医の選任を増やすための方策を考える必要がある。
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