若者応援企業が実はブラックか 過重労働を理由に提訴
2014/08/08 労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要
厚生労働省が勧める「若者応援企業」制度の登録企業に就職したが過重な労働や長時間労働を強いられ心の病になったとして、神奈川県在住の24歳女性が7日、会社と派遣先などに対し、賃金や慰謝料など約500万円の支払いを求め東京地裁に提訴した。
女性が訴えたのは、コンピューターのシステム設計などのIT会社「LIFECREATIONS」(東京都港区)と派遣先の「富士ゼロックスシステムサービス板橋事業所」(同板橋区)など3社である。
訴状などによると、女性は2013年11月にL社の1カ月の研修を受けて入社、別の会社経由で富士ゼロックス社に派遣された。研修中の休みは1日で、270時間行われたが賃金は支払われなかった。
また、女性は研修後すぐに富士ゼロックス社に派遣され、高度な知識の求められるシステム開発の仕様書作成を命じられた。具体的な指導はなく、パワハラやセクハラ発言を受け、長時間労働も続いたことから、2カ月勤務した後、適応障害で働けなくなった。
女性側の代理人弁護士は「若者応援企業がブラック企業だった。登録は慎重にするべきだ。」と強調している。厚労省の担当者は「登録企業に法令違反があれば、登録の保留や取り消しを検討する。」としている。
コメント
厚労省が2013年4月から開始した「若者応援企宣言事業」において、労働関係法令の違反がないことや若者を正社員に採用しているなど一定の条件を満たした企業が申請し、問題がなければ各都道府県労働局のホームページに若者応援企業として掲載される。現在、全国の3519事業所が登録されており、企業には若者に対するPR効果が、若者は良い企業との出会いが期待できるとされ、双方にとって好都合であるとされている。
ブラック企業が問題視されている現代では、若者応援企業は「非ブラック企業」であるということをPRしており、ブラック企業を避けようと思っている学生にとって有益になっている。しかし、今回の提訴により、企業の実態とアピール内容とが著しく乖離した企業が多く存在する可能性が示唆されている。現在登録されている企業あるいは今後申請される企業について、労働時間や定着状況など実態について法令違反がないか詳しい調査が必要とされる。
関連コンテンツ
新着情報

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 境 孝也弁護士
- さかい総合法律事務所
- 〒105-0004
東京都港区新橋3-9-10 天翔新橋ビル6階

- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...

- セミナー
片岡 玄一 氏(株式会社KADOKAWA グループ内部統制局 法務部 部長)
藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【オンライン】CORE 8による法務部門の革新:企業法務の未来を創る!KADOKAWAに学ぶ プレイブック×AIで切り拓く業務変革
- 終了
- 2025/06/30
- 23:59~23:59

- 解説動画
奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分

- ニュース
- 非上場会社で届出不要へ、譲渡制限付株式報酬とは2025.10.8
- 金融庁および金融審議会が現在、非上場企業が株式報酬を付与しやすくなるよう有価証券届出書の提出を...
- 弁護士
- 原内 直哉弁護士
- インテンス法律事務所
- 〒162-0814
東京都新宿区新小川町4番7号アオヤギビル3階

- 解説動画
岡 伸夫弁護士
- 【無料】監査等委員会設置会社への移行手続きの検討 (最近の法令・他社動向等を踏まえて)
- 終了
- 視聴時間57分

- 業務効率化
- ContractS CLM公式資料ダウンロード