タクシー運賃にかかわる事業主、運転手、利用者の思惑
2014/08/05 労務法務, 労働法全般, その他

事実の概要
京都市域において国の規制強化と消費税増税に伴い、新しい料金体系に移行してから4ヶ月経過した。平均で一割以上のタクシー運賃値上げにつながり、タクシー業者は客離れをおそれている。
運賃は行き先が1.7キロ以下といった近距離の場合は610円と従来と比べ30円安くなったが、中長距離では割高になった。例を挙げると、近距離の場合JR京都駅(下京区)から約1.3キロ離れた東寺(南区)まで乗ると3月までは640円だったが、610円と30円値下がりした。これに対して中長距離はJR京都駅(下京区)から約8キロ離れた銀閣寺(左京区)においては1920円から2290円と370円の値上げとなった。
このような値上げにはタクシー運転手の労働環境の改善を図る意図がある。京都府タクシー業者によると京都のタクシー乗務員と同地区の一般産業労働者の「平均年間所得」と「平均労働時間」の比較でタクシー運転手は約30時間長く働いているのに対して所得は約220万円低いという現状である。また、運転手がより効率的に営業するため、安全性が失われ、運転手が客を選ぶといったサービスの低下のおそれがある。
しかし新しい料金体系に対しては値上げに伴う利用客減少のおそれというタクシー業界からの反発が見られる。京都の一部のタクシー業者は国が定めた運賃幅に従わず、3月以前の料金に消費税増税分を加えた初乗り2キロ当たり600円で営業している。そして裁判所に対して運賃変更命令の差し止め請求をし、裁判所はこれを認容した。
京都府タクシー協会によると4、5月は花見など観光客の需要に支えられて値上げの影響はそれほどなかったという。ただ、6月以降大きなイベントがない期間については利用者が減少し、利用するとしても近距離の客ばかりとなり、中長距離利用の客が減少するという値上げの影響が大きく反映されるおそれがある。
コメント
利用者としてはタクシー運賃は安ければ安いほどありがたく利用しやすいものであるが、タクシー運転手やその家族にとっては生活の基盤にかかわる重要な問題であり、事業者にとっても客離れによる業績悪化など経営に関し重要な問題である。そのためこれからのタクシー事業に関しては運賃を売りにするのではなく、より安全な運行、丁寧な接客、会社独特のツアーの運営等、タクシー事業が求められているサービスにプラスした価値を押し出すことにより、事業者それぞれのサービスにつき特色を出し利用者を呼び込む必要がある。
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