パナソニックが年功制廃止、来年4月に全社員対象へ
2014/08/05 労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要
2014年7月30日、パナソニック株式会社が、給与について、来年4月に全社員の給与体系から年功要素を廃止する方針を固め、労働組合との協議に入ったことが分かった。10月から管理職を対象に、担当する役割の大きさに応じて賃金を決める役割等級制度を導入するが、これを全社員にも広げるという。管理職以外の社員の給与は現在、一部成果給も取り入れているが、大部分が年齢に応じて上昇している。
他方、人材登用については、若手社員を責任のある役割に積極的に登用することでやる気を引き出すという。新しい賃金制度を円滑に運用できるよう10月から一部の部署で「グループマネージャー」などの呼称を廃止し、部長や課長などを13年ぶりに復活させる。
電機大手ではソニー株式会社も年功要素を廃止した賃金制度の導入を検討している。
コメント
社員の賃金を何によって決めるべきか、その考え方は、時代・国によって大きく異なる。労働基準法上、「賃金」について「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」(11条)と定義されている。対償とは対価という意味であるから、法律上、社員の賃金は、「労働の対象」によって決めるべきとしている。
年功制とは、年齢に応じて、組織内の地位や賃金が上がっていくことをいう。そのメリットは、勤務期間が長ければ賃金が上がるという期待感から、モチベーションを維持しやすいという点があげられる。もっとも、不景気の影響等により、近年では離職のリスクを覚悟して年功制を廃止する企業も少なくない。
役割等級制度とは、それぞれの役職や仕事に求められる「役割」の大きさに応じて等級を設定し、その役割を担当する社員の格付けを行う制度のことをいう。「同一役割・同一賃金」を前提として、年齢やキャリアに関係なく、難易度・期待度の高い役割で成果を上げれば、それに見合う報酬が得られることが特徴である。成果を上げれば高い報酬が得られるので社員のやる気を引き出す一方、成果と報酬がマッチしている
ため人件費を抑えることができる。
以上のメリットがあることから、今後役割等級制度を採用する企業は増えるものと思われる。もっとも、制度導入時から役割等級の信頼性を確保するには一定のノウハウが必要というデメリットもある。今後は、各企業が模索していくことになるだろう。
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