世界に誇る知財立国に向けて~「知的財産推進計画2014」を発表~
2014/07/02 知財・ライセンス, 特許法, 著作権法, その他
政府は6月20日、知的財産戦略本部会合を開き「知的財産推進計画2014」を決定した。本計画では、世界に誇れる知的財産システムを構築することを目標としている。
そのために、「知財本部における最重要5本柱」を掲げ、知財の発展に向けた提言を行っている。以下では本計画の概要を見ていきたい。
知的財産推進計画2014の概要
①職務発明制度の抜本的な見直し
現状では、従業員が行った職務発明についての特許権は発明者に原始的に帰属することになる。
その上で発明者から使用者に権利を譲渡する場合には使用者は相当の対価を払う義務を負う。産業競争力の強化に資する観点からは、例えば法人帰属や当事者の契約に委ねる方向で抜本的に見直すべきであるとしている。
②営業秘密保護の強化
営業秘密の漏洩を抑止するために、刑事規定の整備、実効的な救済(損害賠償・差止)を実現できる民事規定の整備を行う必要がある。
例えば刑事規定については非親告罪化や罰金の上限の引上げなど、民事規定については立証負担の軽減などを導入する。
③中小・ベンチャー企業の海外知財活動支援
多くの中小・ベンチャー企業は、知的財産マネジメントに対する理解が不十分である。また、人財や資金、情報の収集が決定的に不足している現状がある。
優れた技術を有する中小・ベンチャー企業の知的財産に対する理解を深めるべく、中小・ベンチャー企業を直接訪問して相談を行う知財アドバイザー(企業OB等)派遣の拡大等の措置を行う。
既に海外展開している企業や関係団体(国際知的財産保護フォーラムや海外現地の我が国企業による知的財産問題研究グループ等)が有する知財保護に関する情報を集約し、効果的な発信・共有を図る。
④コンテンツの海外展開促進
コンテンツの海外への売り込みの為に、放送コンテンツ海外展開促進機構やクールジャパン機構等と連携し、海外プロジェクトの実施、情報の共有、人的交流等を促進する。
海外における権利収入を確保し、我が国コンテンツ産業のビジネスリスクを低減させるため、現地の集中権利管理団体や政府当局の著作権管理能力の育成を支援する。
⑤アーカイブの利活用促進
文化資源を適切な形で蓄積し、整備する。インターネットを通じて幅広く入手
できる(デジタルアーカイブ)を整備する。
映画、音楽、アニメ、マンガ、ゲーム、デザイン、写真、書籍、文化財等の文化資産及びこれらの関連資料のデジタルアーカイブ化を、国立国会図書館等の関係機関と連携し行う。またデジタルアーカイブの利活用に係る相談・権利処理窓口機能を整備する。
権利の所在が不明な著作物を含む過去の膨大なコンテンツ資産の権利処理の円滑化によるアーカイブの利活用を促進するため、著作権者不明の場合の裁定の手続の簡素化、裁定を受けた著作物の再利用手続の簡素化など裁定制度の在り方について早急に検討を進める。
コメント
日本企業が特許、著作権等の知的財産を利用して海外でどれだけの収支を上げたかを示す「知財収支」の黒字額が2013年度に1兆円を超えた。もっとも内訳で見ると、著作権に関する収支は5800億円の赤字である。これはソフトウェアを米国に依存しているのが主要因とのことである。日本製のソフトウェアの作成なかなか困難であることを考えると、赤字幅を縮小する為には海外での模倣品、海賊版の取締りを強化することが現実的な対策であるといえる。
本計画でもグローバルな模倣品、海賊版対策の強化を推進が盛り込まれている。実効性のある施策の実現が期待される。
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