予備校の学費返還拒否、無効
2014/04/15   消費者取引関連法務, 消費者契約法, その他

事案の概要

 大分地方裁判所は、大学受験予備校が中途退学者が納付した学費を返金しないと定めた規定は消費者契約法の規定により無効であるとの判断をした。

 予備校側は「新入生を募集できる期間は限られており、中途入学者も少ないため、条項は有効だ」と主張したのに対し、同裁判所は「大学予備校は別の人を中途入学で受け入れるなどの措置をとることができ、中退によって授業料全額分の損害を受けるとは言えない」としている。

 また、予備校側の「大学は最高裁判例で、返金拒否を認められている」との主張に対しても、「予備校には入学試験がなく、中途入学を受け入れるのは大学ほど困難ではない」としている。

 予備校側は控訴する方針を示している。

学費返還に関する裁判例

(1)大学の入学金及び授業料等について返還が認められなかったケース
<大阪地裁平成15年9月19日判決>
 入学金は当該大学に入学しうる地位ないし資格の対価(一種の権利金)としての性質を有するものであるから、大学は入学を辞退した者に対して入学金の返還義務を負わない。
 また、授業料等については、実際に被告に入学し、被告から教育役務等の提供を受けることの対価としての性質を有するものであるから、原告らが入学を辞退し、被告から教育役務等の提供を受けることなく在学契約が終了した以上、本来的には,原告らに返還されるべき金銭であるが、欠員発生により発生するリスクを、不当に原告らに転嫁しているとまではいえず不返還特約は、いまだ公序良俗に反するとまではいえず有効である。

<最高裁平成18年11月27日判決>
 学生が大学に入学し得る地位を取得する対価の性質を有する入学金については,その納付をもって学生は上記地位を取得するものであるから、その後に在学契約等が解除され、あるいは失効しても、大学はその返還義務を負う理由はない。 
 本件不返還特約が、その目的,意義に照らして,学生の大学選択に関する自由な意思決定を過度に制約し、その他学生の著しい不利益において大学が過大な利益を得ることになるような著しく合理性を欠くものとまでは認め難く、公序良俗に反するものとはいえない。
 
(2)鍼灸学校において、入学金の返還は認められないが、授業料等については返還義務が認められたケース
<最高裁平成18年12月22日判決>
 本件入学金は、学校に入学し得る地位及び入学準備行為の対価としての性質を有するもので、本件在学契約が成立したことにより入学金と対価関係にある利益を既に得ていることから、入学金の返還を求めることはできない。
 授業料等は、在学契約に基づく学校の学生に対する給付の対価としての性質を有するものであるから、被上告人学校に入学すべき日である同年4月1日よりも前に本件在学契約が解除された以上は、特約のない限り、学校は、学生に対し、本件授業料等を返還する義務を負うものというべきである。

(3)大学医学部専門の進学塾の支払い済み授業料の返還が認められたケース
<東京地裁平成15年11月10日判決>
 冬期講習契約を解除したのは、一番早く開始される講習の二六日前であり、かつ、一番遅く開始される講習の二か月以上前であった。また、年間模擬試験についても、実施日の三週間以上前であった。 
 申込者からの解除時期を問わずに、申込者からの解除を一切許さないとして実質的に受講料又は受験料の全額を違約金として没収するに等しいような解除制限約定は、信義誠実の原則に反し、「民法第一条第二項に規定する基本原則に反して、消費者の利益を一方的に害する」ものというべきである。

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