ゴルフ協会の暴力団交際問題で改めて注目される、企業の反社会勢力対策
2014/04/07 コンプライアンス, 民法・商法, その他

内閣府は4月1日、日本プロゴルフ協会の元幹部が暴力団員と交際していた問題で、同協会に対して事実解明と再発防止策を求める勧告を行った。
同協会を巡っては、昨年9月に当時の理事と副会長の指定暴力団員との交際、金銭授受の事実が明らかになっていた。同問題の発覚後、政府は協会側から複数の報告を受けていたが、満足出来る回答ではないとして今回の対応に踏み切った。協会側は5月30日までに再発防止策について政府に報告し、今後定期的に状況の報告をしていくとのことである。
企業と暴力団との関係については、みずほ銀行の暴力団融資の問題で個人株主が株主代表訴訟を起こすなど改めて注目されている。
また刑事事件の例ではあるがゴルフ場で暴力団員の身分を明かさずにプレーし、詐欺罪に問われた暴力団関係者の裁判で最高裁が3月28日、一審、二審の有罪判決を破棄し逆転無罪の判決を出している。
暴力団員であることを秘して行った施設利用申込み行為自体が、挙動による欺罔行為に当たると下級審は判断していた。
これに対して最高裁は、被告人は利用の申し込みに際して書類に氏名、住所等を偽りなく記入し、同書類には暴力団関係者であるか否かを確認する欄はなく、誓約書の提出その他従業員による確認もなかった本件においては、暴力団関係者であることを申告せずに施設利用を申し込む行為は詐欺罪にいう人を欺く行為には当たらないと判断した。
これは暴力団の施設利用禁止条項などを考える上でも興味深い判決である。
以下では暴力団関係者との取引に関して参考になると思われる裁判例を挙げておく。
参考裁判例
①ホテル運営会社が元暴力団員との間で締結した結婚式、披露宴を行う契約を暴力団排除条項に基づき解除した場合の債務不履行、不法行為責任が争われた。
契約締結後、警察から当該顧客が暴力団員であることを告げられたホテル側の暴力団排除条項に基づく契約解除に対して、顧客は暴力団から既に破門された旨主張したが、裁判所は契約締結時および解除時も現役の指定暴力団員であったと推認できるとし、ホテル側が当該条項に基づき契約解除し債務を履行しなったことに違法性はなく、債務不履行、不法行為のいずれも成立しないとした。(大阪地裁平成23年8月31日)
②注文者が暴力団と密接な関係を有する者であるとは知らずに締結した請負契約で注文者は、請負工事の履行、損害賠償、違約金を請求したが請負人は錯誤無効を主張した。
裁判所は請負契約において、注文者が暴力団と密接な関係を有するものではないことが、請負人にとって契約を締結する動機であることが黙示に表示されていたとし、請負人は注文者が暴力団と密接な関係を有していれば契約を締結しなかったと認められるから、契約は錯誤によって締結されたと判断し、請負人に対する損害賠償請求等は否定された。(東京地裁平成24年12月21日)
③信用保証協会が締結した保証契約で主たる債務者が反社会的勢力であると知らなかったとして、保証契約の錯誤無効が主張された。
主たる債務者が反社会的勢力であったために保証契約の錯誤無効は認められるものの、当該保証は「協会斡旋融資」であり、融資および信用保証を行うことに問題がないと判断して、金融機関に融資を斡旋した者が錯誤無効を主張して、保証債務の履行を全部免れることは、衡平の理念に反するとし、請求が一部認容された。(大阪高裁平成25年3月22日)
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奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
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