経営統合の行く末 成立事例と破談事例
2014/01/22   商事法務, 戦略法務, M&A, 会社法, その他

経営(あるいは事業)統合のスキーム

 企業同士が経営統合をする際には個別の事例ごとに細かい差異はあるものの、次のような手法がとられている。①共同株式移転による持株会社の設立を通じた手法、②持株会社の設立することなく吸収合併や株式交換を用いる手法、③会社分割による事業統合の手法である。以下、それぞれ具体的な事例を検討する。

持株会社の設立を通じた経営統合

共同株式移転により持株会社を設立した上で、子会社となった両社間で合併などにより経営統合を図る手法である。独禁法の改正により純粋持株会社の設立が解禁されたことを契機に多く見られる手法で、業界を問わず利用されている。特に銀行業界や損保業界は、持分会社の設立を通じて業界再編が進められた結果、3強による勢力図が確立されている。

・三菱UFJフィナンシャル・グループ(三菱東京フィナンシャル・グループとUFJグループ)
三菱UFJフィナンシャル・グループ 沿革(統合以前各企業の沿革も含む)

・NKSJホールディングス(損保ジャパンと日本興亜損保)
NKSJホールディングス 沿革

・三越伊勢丹ホールディングス(三越と伊勢丹)
株式会社伊勢丹と株式会社三越との共同持株会社設立による
経営統合に関するお知らせ(PDF)

持株会社の設立によらない経営統合

持株会社を設立することなく株主交換による完全子会社化や、吸収合併による経営統合も行われている。

・パナソニックによる三洋電機の完全子会社化
*この事例では、同時にグループ全体の企業価値の向上を目的として、連結子会社であるパナソニック電工も株式交換により完全子会社化している。
パナソニック株式会社による三洋電機株式会社の株式交換による完全子会社化に関するお知らせ(PDF)

・新日鉄と住友金属の経営統合
*この事例では、株式交換を行った上で吸収合併を行うという二段階の手続を行うスキームとなっている。
新日本製鐵㈱と住友金属工業㈱との経営統合に関する最終合意の成立について

会社分割による事業統合

企業全体でなく事業のみを統合する際に、会社分割による手法をとる事例が見られる。

・三菱重工業と日立製作所の火力発電システム関連事業の統合
*この事例では、三菱重工の設立した統合会社に、日立の対象事業を吸収分割する手法がとられた。

三菱重工業株式会社と株式会社日立製作所の
火力発電システム分野での事業統合に関するお知らせ(PDF)

破談となった事例

・サントリーとキリン
→トップ同士で交渉が開始され注目を集めたものの、統合比率において折り合わず。

・川崎重工と三井造船
→統合ありきで取締役会を軽視した長谷川社長に対し、統合反対派の取締役らが反発。2013年6月の取締役会において、長谷川社長を含めた統合賛成派の取締役3名を解任。統合反対派の村山氏を社長に選定するとともに、統合交渉は白紙となった。

コメント

今後もグローバルな規模での競争力の強化が求められることに変わりはない。経営統合は必然的な流れである。しかし、統合が成立した事例であっても、内在的な要因などから必ずしも当初予想していた効果を得られていない経営統合も存在する。今後行われる統合や上記の事例について、その効果に注目していきたい。

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