企業による高年齢者の雇用、広がる
2013/11/25 労務法務, 労働法全般, その他
事案の概要
厚生労働省は、改正高年齢者雇用安定法の施行して初めてとなる「高年齢者の雇用状況」(平成25年6月1日現在)の集計結果を公表した。今回の集計結果は、同法に基づき雇用状況を報告した従業員31人以上の企業約14万社を対象としたものとなっている。
集計結果のポイントは以下の3点である。
(1)法により義務付けられた高年齢者雇用確保措置(①定年の廃止、②定年の引上げ、又は③継続雇用制度の導入のいずれか。以下、「雇用確保措置」という)を実施済みの企業の割合は92.3%となっている。
企業規模別で見ると、従業員301人以上の会社(以下、「大企業」とする)で95.6%、従業員31人~300人の会社(以下、「中小企業」とする)では91.9%となっている。
雇用確保措置の方法としては、①2.8%、②16.0%、③81.2%となっており、定年制度によるよりも、継続雇用制度によって雇用確保措置を講じる企業が多いことが明らかになっている。
(2)希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は66.5%で前年比で17.7ポイント増加している。内訳としては、中小企業が16.8ポイント増の68.5%、大企業に至っては前年比24.6ポイント増の48.9%となり、制度改正により倍増している。
しかし、70歳以上まで働ける企業は18.1%にとどまり、中小企業では19.0%、大企業ではわずか11%となっている。
(3)過去1年間(平成24年6月1日から平成25年5月31日)で60歳定年を迎えた者のうち、継続雇用された者は76.5%、継続雇用を希望しない者は22.3%、継続雇用を希望したが継続雇用されなかった者は1.2%となっている。
貯蓄や健康等の状態にもよるが、多くの者が継続雇用を希望している状況は鮮明になっている。
コメント
改正法は急速な少子高齢化の進行や厚生年金の受給年齢の引上げに対応して65歳までの安定した雇用の確保を目的として制定・施行されたものである。今回の集計結果は改正から2ヶ月間のみ含まれるため改正の影響は一部しか反映されていないともいえる。しかし、ポイント(2)でも指摘した通り、65歳以上で希望する者が働ける企業は確実に増加しており、今後さらに高齢者の雇用が広がっていくと予想される。
もっとも、少子高齢化により労働人口の減少は今後も急速に進むと想定される以上、経験豊富な高年齢者をさらに活用することが重要になってくる。現状では70歳まで働ける企業はごく少数にとどまるが、さらに高年齢者が活躍できるような社会を実現するため法改正を含めた環境整備が求められてくるだろう。
改正内容も含めた高年齢者雇用安定法の内容についても今後取り上げる予定である。
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