廃炉会計の新規則は粉飾ではない?
2013/10/08 法務相談一般, 民法・商法, その他

事案の概要
経済産業省は10月1日、電力会社が原子力発電所を廃炉にした場合についての新たな会計規則を施行した。
同規則は、原発が廃炉になっても、会計上は資産として残すことができ、廃炉にかかる費用の積立分の不足も、まとめて損失として処理することなく10年に分割して処理ができるとするものである。
原発の廃炉については、建設から40年かけて廃炉に必要な費用を積み立てるほか、建設にかかった費用を減価償却していくことになっていた。
その場合、稼働開始から40年未満の原発を廃炉にすると、一度に多額の特別損失が生ずるおそれがある。
そこで、電力会社が多額の損失計上をしなくてすむように、新規則は、廃炉とする原発について、会計上資産価値があるものとして減価償却を認め、損失の一部を10年に分割して費用として計上できることとしたものである。
この新規則は、電力会社は2013年10~12月期の決算から利用可能となる。
コメント
今回の新規則には、大きく2つの問題があると思われる。
(1)まず、このような会計処理は粉飾決算に当たらないのかと言うことである。
今回の新規則は、利用価値がなく資産価値はなくなった廃炉原発に資産価値を認めるもので、これはまさに粉飾決算を認めているに他ならならず会計の原則に反すると考えられる。
このような、会計の原則に反する規則が許されるのかが疑問である。
(2)次に、今回の変更により、廃炉原発について減価償却を認められるので、この減価償却費を電気料金の原価に含めることができるようになり、それにより電気使用料金の値上がりにつながる可能性がある。このような、消費者に負担を課する変更について、行政のみで決定しうる規則等で変更することが果たして妥当なのかと言う点である。
電力料金の負担は国民の多くが負うものであることからすれば、規則等によるのではなく、法律によって規定し、国民的な合意を取るべきではなかったのでないかと考えられる。
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