台湾、最低賃金の引き上げなるか?
2013/08/29 海外法務, 海外進出, 外国法, その他

事案の概要
台湾で、最低賃金の引き上げに関して、職業安全保健機関(the Institute of Occupational Safety & Health:略IOSH)で議論される公算が高くなった。
IOSHは、労働審議会(the Council of Labour Affairs:略CLA)の下にある、調査機関で、最低賃金に関して、労使の対話を調整する予定である。
労働者側は、時給で133台湾ドル、月給で22639台湾ドルへの引き上げを要請している。(1台湾ドル=3.25円:8月28日終値)
一方経営側は、少なくとも月給に関しては、現在の経済状況から見て時期尚早と考えている。
景気状況が、あまり良くない中で、現在の最低賃金(月給)、19047台湾ドルで据え置かれる公算が高いが、最低時給に関しては、引き上げられる余地があると、関係者は見ている。
昨年の総統選で、再選を果たした、馬英九総統は、最低時給115台湾ドルへの引き上げを、訴えていただけに、時給に関しては、引き上げざるを得ないという見方が強い。
もっとも、今後の経済状況によっては、最低月給の引き上げの余地がないわけではない。2期連続でGDP成長率3%あるいは、2ヶ月連続で、失業率が4%下落するといった経済指標が示されれば、月給引上げの可能性もあると見る関係者もいる。
最低時給に関しては、昨年9月に、103台湾ドルから109台湾ドルに引き上げられることが決定し、今年初めから、適用がなされていた。しかし、月給に関しては、景気の低迷を背景に、慎重な意見が多く出ていたため、引き上げは見送られていた。
コメント
賃金水準がどの程度になるかは、生活に直結するだけに、国民にとって、重大な関心事である。
それゆえに、(悪く言えば)政治的な道具にもなりやすい。賃金水準の引き上げを、掲げた方が政治的支持を集める可能性が高くなるからである。
実際、韓国では、経済状況は良くないにもかかわらず、来年度の最低賃金(時給)を今年より7.2%引き上げることが決定している。
上記台湾の賃金引上げ議論では、この韓国の事例も引き合いに出されているようである。
更に、タイでは、日額最低賃金が、全国で一律300バーツに設定され、この引き上げが、人件費の高騰を招き、倒産する中小企業も出始めている。
低所得者を、救済するはずの賃金の引き上げが、人件費の高騰を招き、外国からの投資を減少させ、経済成長の妨げとなる危険性がある。それが、結局は、国内の労働市場を冷え込ませる結果となってしまう。
現地での雇用に大きな影響を与えるだけに、最低賃金の議論の行方は、企業担当者としても、注目して推移を見守る必要がある。
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