インドネシアの「禁酒令」?
2013/07/17 海外法務, 海外進出, 外国法, その他

事案の概要
インドネシアの一部地域でアルコール類の販売が禁止される可能性が高まっている。これは、7月4日インドネシア最高裁において、1997年に発布され、同国において酒類販売を認める実質的根拠となっていた大統領令を無効とする判決が出たためである。同判決は、酒類販売の禁止を求めるイスラム強硬派の意見を強く反映するものとなっている。
同国では、アルコール5%以下の酒類の販売は許されているが、今回の判決を受けて、一部地域では、酒類の全面販売禁止の可能性も出てきた。
同国は、世界最大のイスラム国家であり、強硬派の影響力の強い一部自治体(首都ジャカルタ周辺を含め、バンテン州や西ジャワ州といった22の自治体)においては、アルコール類の販売を禁止する条例を制定している例もあった。しかし、1997年に発布された大統領令が酒類販売を許容する内容であったため、こうした条例は実質上、無効化されていた。
イスラム強硬派の主導的グループである、イスラム防衛戦線(the Islamic Defenders Front)のスポークスマンは、同判決はインドネシアの社会秩序を守る有益なものであるとして、高く評価している。バーやナイトクラブでのアルコール販売を禁じる条例制定への追い風になると期待している。
もっとも、今回の最高裁判決によっても、酒類販売を禁止するかどうかは各自治体の裁量に委ねられている。インドネシア議会の中には最高裁判決の後押しを受けて、酒類販売に関して、より強い規制をかける法案の提出も検討されている。インドネシアの全地域において酒類の販売を禁止すべきであるという強硬な意見も存在するため、今後の推移が注目される。
コメント
同国の酒類販売禁止措置を巡っては、国内のイスラム教徒の間でも、意見が割れている。賛成派の意見としては、宗教上の教義を重視する見解のほかに、酒類そのものが社会、文化に悪影響を及ぼすという見方もある。
一方、反対派の意見は専ら、経済的観点からの指摘である。酒類販売の禁止は、観光産業に打撃を及ぼすことに加え、酒税の収入が減少すれば、同国の財政にも悪影響が出るというものである。実際、同国における酒税収入は、歳入の約4%を占め、貴重な財源となっている。
今年中にも、議会における法案の審議が予定されているため、その動向が注目される。
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