英国Googleの不透明な税金処理、問われる大企業のモラル
2013/06/13 税務法務, 租税法, 税法, IT
事案の概要
英国のGoogle社で不透明な税務処理がなされていたとして、同国の下院議員団が行っていた調査の結果が現地時間木曜日に発表された。
英国の顧客に対する販売実態がないにもかかわらず、ロンドンに営業部門のスタッフを雇用しているかのように装い、本来であれば支払うべきであった税金を免れたとしている。
Google社は2006年から2011年にかけて英国で180億ドルの収益を上げていたが、税金として納めていたのは1600万ドルに過ぎなかった。これは、バミューダ諸島などの所謂タックスヘイブン(租税回避地)を利用して税金額を低く抑えた結果である。
同社は、ロンドンではなく、アイルランドのダブリンから英国に販売活動をしていると弁明。しかし議員側は全く説得力がないと指摘。Google社の不明朗な税金処理は、法人税を免れる目的以外のなにものでもないとしている。
また、議員団は、同社に対する税務当局の対応の甘さを指摘している。歳入税関庁(HMRC)に対して調査を行うように求めた。HMRCは今のところ静観しているが、場合によっては調査に入る可能性もある。
コメント
個人、法人を問わずできるだけ払う税金を抑えたいという考えは共通するものだろう。しかし、法人の場合は納める金額の桁が違ってくるためにより大きな問題になる。
Googleのほか、アップルやアマゾンといった巨大企業がタックスヘイブンを利用して多額の税金を回避しているとされ、問題となっている。
そうした中で特に、欧米では企業の税金逃れに対する目が厳しくなっており、本件事案もそうした流れの中にあると言える。
英国は法人税率引き下げの傾向にあるが、こういった税率の引き下げ及び企業の税金逃れの影響からか法人税の納税額は減少している。
注目度の高い有名企業の税金回避が問題となれば、企業課税の議論がより高まっていくことにもなりかねず、企業側は自分で自分の首を絞めるという結果にもなりかねない。
こういった、税金回避方法は、法の隙間を上手くかいくぐると言えば聞こえはいいかもしれないが、脱法的な要素が多分にあり、特に大企業と呼ばれる会社が行うこは好ましいとはいえないだろう。
また、こうした手法は複雑なスキームが必要であり、監査法人が一枚噛んでいるという指摘もある。
本来企業の適正な会計をたすけるはずの存在が、危ない橋を渡っているとすればこれも問題であろう。
参考資料
「英国の税制」
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