悪質商法救済、集合訴訟で
2013/02/12   消費者取引関連法務, 消費者契約法, その他

高まる消費者保護の必要性

悪質なエスティックサービスや通信販売、モニター商法などに巻き込まれた消費者が裁判でその損害を回復することは、簡単なことではない。損害が少なければ、訴訟費用の方が却って高くついてしまうからだ。
しかし、複数の消費者が企業を相手取って共通の訴えを提起するケースは増えている。昨年続けざまに提起された、携帯電話会社に対する、解約金条項の使用差し止め訴訟がその代表である。

消費者庁は、こうした消費者問題の高まりを受けて、今国会において、集合訴訟制度を新設する法案を提出する予定である。

現行の法制度は、2007年6月に導入された「消費者団体訴訟」(消費者契約法13条以下)において、認定を受けた消費者団体が消費者に代わって提訴をするものであり、被害者の代わりに返金を求めたり、損害賠償請求をすることはできない。

「集合訴訟」制度とは

これに対し、消費者庁が提出する法案における「集合訴訟」制度は、従来の「消費者団体訴訟」とは大きく異なる。原告こそ、認定を受けた消費者団体に限られるが、被害を受けた消費者は、訴訟の動向が判明してから参加できる仕組みになっており、多数の被害者が参加することで、個々の被害額が小さくても争いやすく、代金の返還を求めることができるものとなる見込みである。

この「集合訴訟」制度が想定するのは、「返還するべき金銭を不当に払わない場合に返還を求めるケース」や、「約款の契約条項の無効を主張し、支払った金銭の返還を求めるケース」、「購入した商品に欠陥があり、売買契約を解除して返金を求めるケース」、「経営実態の不明な会社の未公開株を無登録業者から購入した場合に、契約を解除し返金を求めるケース」など、多岐にわたる。他方で、昨年消費者庁が公表した制度案においては、製品事故や、食中毒、個人情報の流出事故などについては、その対象から除外されている。

「集合訴訟」制度と企業側の対応のあり方

しかしながら、このような「集合訴訟」は、企業にとっては非常に警戒すべきものである。仮に「集合訴訟」が提起された場合、1人あたりの被害額がわずかであっても、大多数が制度を使って訴訟参加すれば、企業の賠償額は極めて巨大なものとなる可能性があるし、企業はそうした事態を避けるべく、消費者が少しでも納得できない契約を結んだ場合には、契約の解除や代金の返金に応じざるを得ない状況になっていくと考えられる。

消費者保護と企業のビジネスのバランスをとることは非常に難しい。この新しい制度の下において企業が余計なリスクを負わないようにするためには、消費者との契約の約款の文言を再度検討し直したり、契約の文言を消費者に分かりやすいものにするなどの工夫が必要であるように思われる。

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