胆管がん 労災申請29人に 緊急特別セミナーも開催
2012/08/28 労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要
大阪市や宮城県の印刷会社の従業員らが胆管がんを相次いで発症している問題で、厚生労働省は28日、この1か月間に新たに11人について労災申請があったことを明らかにした。申請者はこれまでの判明分と合わせて計29人となる。11人の年代別の内訳は、30代2人、40代3人、50代1人、60代4人、70代以上1人。うち9人は死亡しており、遺族が申請している。
同省は既に、個別の労災請求事案に係る業務と胆管がん発症との間の因果関係について専門的な見地から検討するため、各分野の専門家により構成される検討会を開催することを決めている。第1回検討会は9月6日に行われる予定である。同省は早期救済を目指し、年度内をめどに医学的知見の報告書を取りまとめる方針である。
この問題について、静岡県印刷工業組合は27日、胆管がんを防止するための環境対策について学ぶ緊急特別セミナーを県内で開いた。胆管がんの問題で印刷業界が危険だと誤解されてしまったことから、より良い環境作りをして、安全な業界だとアピールすることが狙いである。
コメント
損害賠償請求に必要な因果関係として、公害訴訟においては疫学的因果関係論[被害発生の原因について、元来、伝染病等の流行の原因を明らかにするために用いられてきた医学上の手法である「疫学」によって証明できた場合に、原因と被害との(集団的)因果関係を推認する]が論じられてきた。
疫学的因果関係論によると、ある因子がある疾病の原因であるためには、次の四条件が必要である(疫学4条件)とされる。
①その因子は発病の一定期間前に作用するものであること(時間的条件)
②その因子の作用する程度が著しい程、その疾病の罹患率が高まること(量反応関係の条件)
③その因子がとり去られた場合その疾病の罹患率は低下すること、その因子をもたない集団では、その疾病の罹患率がきわめて低いこと(消去の条件)
④その因子が原因として作用する機序(メカニズム)が生物学的に矛盾なく説明されること(生物学的妥当性の条件)
疫学的因果関係の証明のみでなく、他の事実をも考慮したうえで、因果関係を推定し、また、原告の個別的レベルで他原因を検討するものが多い。労災においても因果関係の証明には同様の困難があると考えられる。
死亡後5年を過ぎ、申請上の時効が成立しているケースもあることから、時効の起算点の検討を含め専門家による早期検討が待ち望まれる。
以前の記事:印刷会社で相次ぐ胆管がん 検討会新設へ
厚労省:胆管がんの労災認定に関する検討会の開催について
厚労省:職業性胆管がんの相談窓口設置
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