カネミ油症救済法案、衆院を通過 今国会で成立する見通し
2012/08/27 訴訟対応, 民事訴訟法, その他

概要
1968年に西日本一帯で起きた「カネミ油症事件」をめぐる被害者救済法案が24日、衆院を通過した。
28日にも参院厚労委員会で採決され、今国会中に成立する見通しだ。
「カネミ油症事件」とは、カネミ倉庫(北九州市)の米ぬか油製造工程で発生した、国内最大の食品公害事件。
脱臭のために熱媒体として使用されていたポリ塩化ビフェニールが、配管作業ミスで配管部から漏れて混入し、これが加熱されてダイオキシンに変化した。
そして、同社が製造した米ぬか油「カネミライスオイル」を食べた西日本一帯の約1万4000人が皮膚症状や全身の倦怠感など健康被害を訴えたものである。
12年3月現在、認定患者は1966人(うち死者596人)である。
本法では、国が年1回、認定患者や同居家族の健康調査を実施し、その協力費名目で年19万円を支給する。
また、現在国がカネミ倉庫に委託している備蓄米の保管量を増やすなどして経営支援を拡大し、カネミ倉庫が患者側に未払いの一時金を年5万円支払う。
このように、国などが被害者に年24万円を支給することが柱で、これまでの国による間接支援を強化する内容となっている。
議論が続いていた被害者の医療費負担については、現行通り、原因企業のカネミ倉庫が負担するものとされた。
しかし、法案には「原因企業の事業継続が困難となった場合は必要な措置を講じる」との付則が加えられ、同社が経営難に陥った場合は、国が医療費を支払うことも念頭に置いている。
発生から44年が経過し、被害者が求めてきた公的救済が初めて実現される。
コメント
今回の注目点は、法制化によって公的救済が認められたものの、あくまで原因企業による補償が原則とされ、国による直接救済は見送られたことにある。
過去に原因企業との和解が成立した原告側が国への訴えを取り下げたため、いまだ国の法的責任は認められていないことが原因だ。
しかしながら、同社は経営難を理由に和解一時金を払っていない状況であり、このような企業への経営支援という方法を採ることは迂遠かつ不確実である。
一日も早く、医療費の直接的な公的支給が求められる。
それに加え、全面解決のためには、いまだ不明確な被害規模の把握を進め、認定基準の見直しや2世・3世への救済対象の拡大、支援金の増額等がなされることが必須であろう。
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