印刷会社で相次ぐ胆管がん 検討会新設へ
2012/08/24 労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要
大阪府や宮城県などの印刷会社の元従業員らが相次いで胆管がんを発症している問題で、厚生労働省(以下、厚労省)は、申請された労災認定について、専門家の検討会を新設する方針を決めた。また、発症原因を調べている専門家チームの疫学調査の結論をまたずに、労災認定が可能かどうかを年度内にも判断する見通しを示した。
胆管がんとは、肝臓でつくられた胆汁を十二指腸へ流す導管(胆管)に発生する悪性腫瘍である。
大阪市内の校正印刷会社では、元従業員が高頻度で胆管がんを発症した(男性従業員33人のうち少なくとも5人が胆管がんを発症、4人が死亡)。宮城県の印刷会社では、印刷作業を行っていた30歳代と40歳代の男性2人が胆管がんを発症した。この2つの事例の共通点は、換気が十分でなく、マスクを着用していなかったことが挙げられる。
通常、労災と認定するかは申請を受け付けた労働基準監督署(以下、労基署)で判断する。しかし、原因がわからないなど、労基署で対応できない場合は検討会を立ち上げている。これまでに石綿(アスベスト)やダイオキシン関係でも開かれたことがある。
現在、厚労省は大阪市立大の教授を中心とした専門家チームを発足させ、発症と化学物質との因果関係の調査を始めているが、結論に時間がかかる可能性がある。そこで、労災の申請者を長期間待たせるのは適切ではないと厚労省が判断し、検討会には胆管がんに詳しい医師や化学物質の専門家らが加わる予定である。
私見
印刷会社の従業員が胆管がんを発症する確率が高く、また、発症年齢も20代から40代と若いことから、作業中に用いた化学物質が発症に関与している推測が強いという意見がある(産業医科大 熊谷信二准教授)。今後、より詳細な検討が行われる。賢明な判断に期待したい。
【関連リンク】
- 朝日新聞デジタル:胆管がんの労災認定、厚労省の検討会で判断へ 来春めど - 社会(リンク切れ)→アーカイブ
- 胆管がん問題、労災判断で専門検討会 厚労省、早期救済へ :日本経済新聞
関連コンテンツ
新着情報
- セミナー
茂木 翔 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/第一東京弁護士会所属)
- 【オンライン】暗号資産ファンドの最前線:制度改正と実務対応
- 終了
- 2025/05/29
- 12:00~13:00
- 弁護士

- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号
- 解説動画
奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分
- 業務効率化
- 法務の業務効率化
- 解説動画
岡 伸夫弁護士
- 【無料】監査等委員会設置会社への移行手続きの検討 (最近の法令・他社動向等を踏まえて)
- 終了
- 視聴時間57分
- まとめ
- 11月1日施行、フリーランス新法をおさらい2024.11.11
- フリーランス・事業者間取引適正化等法、いわゆる「フリーランス新法」が11⽉1⽇に施⾏されました...
- 業務効率化
- 鈴与の契約書管理 公式資料ダウンロード
- 弁護士

- 髙瀬 政徳弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- ニュース
- 韓国美容系YouTuberのイベント不参加を巡る訴訟、日本企業の請求をソウル地裁が却下2025.10.15
- 韓国の美容系ユーチューバーに出演を委託していた日本企業が不参加による違約金支払いを求めていた訴...










