日本精工の米子会社、米国販売代理店から提訴　価格カルテル巡り
2012/08/24   独禁法対応, 独占禁止法, メーカー

概要

　ベアリングメーカーである日本精工の米子会社ＮＳＫアメリカ(ミシガン州)が、ベアリング製品の取引に関する競争を制限して不当な値上げをおこなったとして、米国のベアリング販売代理店のマクガイアカンパニー(オレゴン州)から訴訟を受けた。マクガイア社は、ミシガン州東部地区連邦地方裁判所に訴えを起こした。訴訟では被告に対して損害賠償、対象行為の差し止めを請求しているが、訴状には訴額の記載がないという。
　日本精工は提訴を受けて「正当性を主張して争っていく」としている。同社によると、ＮＳＫアメリカは今回の案件以外でも、不当値上げを巡って米国内で同様の訴訟を複数受けている可能性があるという。また、訴訟の結果によっては業績に影響が出る可能性があるという。

コメント

　日本精工と国内ベアリングメーカー２社及び同社元役員らは、今年６月、ベアリングの販売を巡り価格カルテルを結んでいた疑いがあるとして、独禁法違反の被疑事実により東京地検特捜部に起訴された。今回のアメリカにおける訴訟は、米国販売代理店から損害賠償を請求されるという形でこの問題が波及したといえる。企業が独禁法を遵守するという基本的なコンプライアンスの重要性が改めて認識される。またそれと共に、国内で問題が顕在化した後に、国内はもとより国外においても取引相手や顧客から訴訟を起こされるリスクに備えておかなければならないといえよう。

【関連リンク】
<a href="http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD220HS_S2A820C1TJ1000/"_blank">日経新聞記事
レスポンス記事
近時の企業カルテルの様相が語るものとは（企業法務ナビ、2012年6月20日付記事）