拡大する液状化訴訟
2012/08/22   訴訟対応, 民事訴訟法, 住宅・不動産

概要

震災の液状化被害によって家屋が傾くなど不自由な生活を余儀なくされた住民らが相次いで売主の三井不動産を訴えている。同社への訴訟は、2011年11月25日の損害賠償請求訴訟の提起を始めとして、2012年2月2日、同年3月8日と相次いでいる。そして、4件目として、同年8月15日にも同様の訴訟提起が行われた。
液状化した住宅付近に建っている都市再生機構(UR)が開発した住宅では、圧縮して固めた砂のパイルを打ち込む「サンドコンパクションパイル工法」が用いられており、液状化対策が施されていることから、被害がなかった。これを受けて住民は、三井不動産は危険性を認識していたのに地盤改良をしなかった、と主張している。
これに対し、三井不動産は、30年以上も前の分譲住宅であり、大震災及びそれによる液状化被害が発生する可能性を「まったく予想できなかった」とし、地盤改良の義務もなかったと主張して、請求棄却を求める姿勢だ。

コメント

震災の2次被害として、千葉県で液状化現象が発生したことは記憶に新しいが、住民が受けた損害填補については、国や千葉県、市の補助金などの活用により、建替えなどの修繕をもって行われていた。結果オーライともいえるが、やはり、被害を受けずに、今まで通り従来の住居で生活できるのなら、それが1番である。
別の「売主」が供給した商品には液状化対策がなされていること、また、液状化現象は2004年の新潟県中越地震の際にも発生していることに鑑みると、住宅建設後に事後的に液状化防止策を講じることができた否かについても問題となろう。「まったく予想できなかった」とする言い分には、説得力が欠けるといわざるを得ない。
圧倒的なブランド力を誇る「三井不動産」が当事者だけに、不動産業界はもちろんユーザーサイドからも今後の動向について注目されているといえる。

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