中国王子製紙デモ:工場操業再開へ
2012/07/31 海外法務, 海外進出, 外国法, メーカー

事案の概要
中国東部の江蘇省南通市啓東で28日、王子製紙の工場が利用する予定の排水管新設計画を巡り、環境汚染につながると主張する住民数千人規模の抗議デモが起きた。抗議する民衆の一部は、公安車両や公用車などを横転させ、庁舎入り口の扉のガラスを割って市政府庁舎内に侵入し、窓から書類をまくなどした。地元政府は建設計画の撤回を決め、デモは収束した。
王子製紙の工場は、昨年1月から南通市中心部に近い開発区で操業を始めた。現在は浄水処理したうえで長江に放流しているが、工場を誘致した南通市政府が進出時の取り決めにより、約100キロ離れた啓東の海岸までつなぐ排水管を建設する計画を進めていた。これに対し、地元の住民らが海が汚染されるとして反対してきた。
王子製紙は、今回のデモについて「憂慮する」との声明を発表。排水中に発がん物質が含まれているなどの一部報道については、「まったくの事実無根であり、中国の国家基準値まで十分に浄化処理を施し、責任を持って水質管理をする所存」とコメントしている。
中国では産業計画に伴う環境汚染を懸念する住民と地方当局との対立が相次いでいる。今月初めには南西部の四川省什邡での金属工場の建設に数千人が抗議し、当局がプロジェクトの断念に追い込まれた。また昨年8月、北東部の遼寧省大連市では、環境上の理由による抗議行動によって化学工場が閉鎖に追い込まれている。
コメント
今回のデモの背景には、①環境問題への意識の高まり、②反日的抗議、③地元政府への不満がある。中国国内ではオスプレイ問題と関連して尖閣諸島をめぐる問題が連日報道されるなど関心が高まっており、今回は日本企業であることから日本に抗議する人もいたようである。もっとも、日系企業以外への抗議も各地で起こっていることから、①環境問題への意識の高まりが一番の要因であると考えられる。
中国はこれまで、経済成長優先の立場から環境対策を後回しにしてきた。これに対し住民の環境問題への意識が年々高まっていることから、中国での事業拡大には、より慎重な対応が求められるようになってきている。
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