原発事故 初の司法判断
2012/07/20 訴訟対応, 民事訴訟法, その他

事案の概要
東電の株主が、福島第1原発事故において、国が東京電力の賠償を免責しなかったために株価が下落し損害を受けたとして(国に)150万円の損害賠償を求めていた事件について、判決が19日、東京地裁であった。
責任について規定する原子力損害賠償法には「異常に巨大な天災地変」で損害が生じた場合、原発事業者は免責されるとの規定がある。原告は、今回の震災は日本の歴史上最大の震災であり、免責される場合にあたると主張していた。東電内部や経済界にもこれと同様の見方がある一方、政府側は東電に責任があるという前提で被災者への賠償などを進めていたため、司法判断が注目されていた。
判決はまず「免責が軽々と認められるようでは、被害者の保護が図れない」と基本的な考え方を示した。そして、「東日本大震災を『免責すべき事態に該当しない』とした国の判断には一定の合理性が認められる」として請求は棄却された。村上裁判長は、地震の規模(マグニチュード9.0)や津波被害を原賠法施行後に起きた過去の大地震と比較し、規模や津波の高さが1964年のアラスカ地震(同9.2)や2004年のスマトラ沖大地震(同9.0)を上回っていないと指摘。原発事故被害者の保護を図る法の目的から、「免責されるのは、人類がいまだかつて経験したことのない全く想像を絶するような事態に限られる」とした政府の見解には合理性があると結論づけた。今回、原発事故での免責をめぐる初めての司法判断として注目される。
私見
今回の原発事故の被害は甚大である。ふるさとを離れ、避難生活を余儀なくされている方が大勢いる。また、放射性物質の飛散により、東北・関東地方をはじめ広範囲で海洋汚染が生じた。農作物の風評被害も未だ根強く存在している。最近では、脱原発をめぐるデモが代々木公園で見られた。このデモはネットを通じて自発的に集まった人たちによるもので、子どもからお年寄りまで幅広い年代層が参加した。
上記の政府の見解から、政府はこの判決に異論はないであろう。復興に向けた今後の政府の迅速な対応に期待したい。
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