ライブドア株主訴訟、会社側の請求認諾にて決着~ところで請求の「認諾」って?~
2012/07/19 訴訟対応, 民事訴訟法, IT

概要
ライブドアの粉飾決算事件をめぐっては、06~07年、強制捜査後に同社株が暴落したことを受けて株主が売却損分の賠償を求める訴えを提起。その規模は原告が株主約3300人と法人24社、請求総額は約231億円というものであった。本件訴訟においては第1審において株価下落分の34%が、第2審においては株価下落分の95%が損害として認定され、この過程で原告の大半は和解に至っていた。今回、上告審での請求の認諾により残りの原告49名に対する約2億7500万円の支払いが確定し、本件訴訟は完全に決着する。LDH側は請求の認諾の理由につき同種裁判での最高裁判決確定を挙げており、原告の全面的な勝利と言える。
さて、本件において原告は「和解」「認諾」という2種類に分かれた決着をみることとなった。そこで本稿においては、民事訴訟法に規定される「判決」以外の訴訟終了の形について簡単に紹介する。民事訴訟においては大半の事案が判決以外の形で決着するのであり、事案に即した適切な解決方法を模索することが必要である。
請求の認諾(放棄)
原告側の請求について理由があると認める・・・即ち、白旗宣言である。本件のように、同種の事件について最高裁判決が固まっているような場合には勝訴の可能性は極めて低い。このような場合に徒に紛争を長期化させることは訴訟費用や企業イメージの観点から望ましくなく、適切な判断が求められるといえる。なお、原告の側からも請求について理由が無いと認める「請求の放棄」もある。
和解
和解とは、原告被告の双方が互いに譲り合う内容を定めることで訴訟を決着させる方法。民法695条に規定されるが、これが裁判上で為されると判決と同様の効果を生じる。裁判所主導ではなく当事者の協議により紛争の着地点を定める方法であるため、きめ細やかで事情に即した解決が可能である。一方、当事者の意向が強く反映されるため、交渉の現場でイニシアチブを取ることが重要となるほか、和解条項が効果的なものとなる為に各条項を明確かつ矛盾がないように定めることが必須である。
訴えの取下げ
原告の側から訴訟の提起自体「無かったこと」にする方法である。終局判決後にこの手段を採った場合、再び訴えを提起することが出来なくなるといった制限があるので、注意が必要である。
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