「物言う株主」たちの戦い-2012年夏の株主総会を読み解く-
2012/06/29 商事法務, 総会対応, 会社法, その他

27日から28日にかけて全国的に3月期決算会社の株主総会が数多く開催されたが、相次ぐ企業の不祥事を反映して、各所で大荒れの展開となった。
自治体VS企業
まず脚光を浴びたのは、地方自治体による電力会社の糾弾である。東京電力の筆頭株主である東京都の猪瀬直樹副知事は、27日開催の株主総会において舌鋒鋭く料金値上げ根拠の明確化を求め、さらにボーナス支給の撤回や東電病院の売却を主張して会場の喝采を浴びた。また、同日行なわれた関西電力の株主総会においても、大阪市の橋下徹市長が発言し、原発依存からの脱却を力強く主張している。
電力会社の株主総会における脱原発や企業体質の改善を求める株主の声が注目されるようになったきっかけは言うまでもなく福島第一原発の事故であるが、個々の株主によるこうした発言や株主提案自体はそれ以前からも為されてきた。これらの提案はさしたる注目を浴びることなく否決され続けてきたが、今回大阪市による「可及的速やかな全原発の廃止」を含む定款変更を求める議案への賛成率が約17%に達するなど、 無視の出来ない大きな流れが形成されていることは疑いようも無い。
個人株主VS企業
一方、不祥事に揺れる企業の株主総会では、経営陣に対し個人株主の厳しい目線が注がれた。巨額借り入れ事件に端を発する現経営陣と創業者一族の対立に揺れる大王製紙の株主総会の出席者は、昨年のほぼ2倍の194名。個人株主からは社外取締役選任の意義や北越紀州による株式取得と取締役派遣の妥当性について厳しい質問が飛んだ。また、オリンパスでも巨額の損失隠しについて厳しい意見が相次いでいる。
これら以外にも、ソニーやトヨタ自動車をはじめとする多くの企業で総会出席者が過去最多となった。日本経済が全体的に停滞する中で株主の企業に対する目線は一段と厳しさを増しており、「シャンシャン総会」はもはや過去のものとなっている。個人株主との対話を重視しつつ企業統治強化を図ることが求められているといえよう。
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