日軽金グループ会社が認証取消、JIS(日本産業規格)とは
2021/07/08   コンプライアンス, 民法・商法, その他

はじめに

 日本軽金属ホールディングスは5日、グループ会社である日軽新潟(新潟市北区)が生産するJISマーク表示製品について認証が取り消された旨発表しました。要求されていた基準を見てしていなかったとのことです。

今回は日本の国家規格であるJIS規格について見ていきます。

事案の概要

 報道などによりますと、日軽新潟はアルミニウムおよびアルミニウム合金の棒や線、継目無管、押出形材に2007年5月から2021年4月にかけてJISマークを表示して継続的に製造・出荷していたとされます。

 同社ではこれらの製品についてJIS規格で要求されている形状とは異なる試験片や審査時のみJIS規格のそった試験片を使用して検査をしていたとのことです。日軽金の名古屋工場でのJIS認証取り消しを受けて発足した日軽金内の調査委員会の総点検により不適切行為が発覚したとされます。これを受けJIS認証機関である日本品質保証機構が同社の認証を取り消しました。

JIS規格とは

 JISとは産業標準化法によって規格化された日本産業規格のことで、Japanese Industrial Standardsの略です。JISにはそれぞれ固有の規格番号があり、アルファベット1文字と4~5桁の数字、発行年が組み合わされ表示されます。

 アルファベットは部門を表しており、Aは土木・建築、Bは一般機械、Cは電子機器、Dは自動車、Eは鉄道、Gは鉄鋼、Hは非鉄金属、Kは化学、Lは繊維などとなっております。それらを合わせ、「JIS C8463:2021」などと表示されます。

これにより日本国内のあらゆる製品のの規格や品質が統一化され社会経済の利便性や効率性、技術の進歩や安全性が確保されることとなります。

JIS認証とそのメリット

 JISマークが表示された製品は、日本産業規格の要求基準を満たしたものであることを意味し、消費者や取引相手からも信頼されやすいと言えます。そして登録認証機関の審査を受け、認証を受けた工場で製造された製品にはこのJISマークを表示する資格が与えられます。

 JIS登録認証機関協議会のアンケートでもJISマーク表示品を扱っている点をアピールすることによって取引先や官公庁、海外への輸出の際にも高評価を受け安く、対外的な信頼度が向上したとの回答が8割以上であったとされます。また認証取得のために確立した品質管理体制が社内での品質向上や人材育成にも効果を発揮するともいわれております。

JIS認証手続きの流れ

 JIS認証は国に登録された登録認証機関が行います。事業者が登録認証機関に認証の申し込みを行ったら、認証機関は適用JIS規格や区分等を決定します。初回適合性評価で工場の品質管理の審査、製品の規格適合性試験を行い、その結果に基づいて認証決定を行います。その後JISマーク使用に係る契約書を締結し、認証証の発行と認証範囲の公表を行って完了です。それ以降も定期的に認証維持審査や規格改正時の臨時認証維持審査が行われていくこととなります。

コメント

 本件で日軽新潟は非鉄金属の部門であるJIS H4040~4100の認証を受けておりました。

しかし規格で要求されているものとは別の形状の試験片を使用して引張試験を行っており、また更新審査時のみ規格に従った試験片で審査を受けていたとされております。これにより同JISに認証は取り消しとなりました。同社グループでは今回で3度目の取り消しとされております。

 以上のようにJIS表示は日本での工業製品市場で非常に高い信頼性を獲得しております。消費者や取引相手に売り込む際もJIS表示の有無で相手が受ける印象も変わってくるものと言えます。しかし一方でその品質と信頼性維持のため厳格な要求基準が設けられております。JIS認証を受けている場合には今一度自社の品質管理体制を見直しておくことが重要と言えるでしょう。

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