ソニーが「ソニーグループ」に、商号変更について
2020/05/21 商事法務, 会社法

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はじめに
ソニーは来年2021年4月1日付で商号を「ソニーグループ株式会社」に変更する旨発表しました。6月26日の株主総会で承認決議を得る予定とのことです。今回は商号変更について見直していきます。
事案の概要
報道などによりますと、ソニーは「ソニーグループ株式会社」に商号変更し、現在ソニーが保有する本社機能とエレクトロニクス事業を分離し本社機能に特化させ、「ソニー株式会社」の商号はソニーエレクトロニクス株式会社が承継するとのことです。金融事業を展開するソニーフィナンシャルホールディングスも完全子会社化しエレクトロニクス部門とのシナジー向上を目指すとされます。役員体制も刷新し、ソニーとその傘下会社の一体経営、事業ポートフォリオの最適化を推進していくとのことです。
商号とは
商号とは会社や個人商人が営業を行うにつき、自己を表示するための名称を言います。会社はその商号中にその種類に従って、「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」といった文字を入れる必要があります(会社法7条)。また銀行法や信用金庫法、各種協同組合法などによって、その業種に合わせて「銀行」「信用金庫」「協同組合」といった文字も入れる必要がある場合があります。また逆に会社でな者が各種会社であると誤認されるおそれのある文字を商号中に入れることはできないとされます。他の会社や商人と誤認されるおそれのある商号も禁止されており、違反した場合には100万円以下の過料となっております(978条3号、商法13条)。
商号変更の手続き
商号変更はまず新しい商号を決め、株主総会の承認決議を経る必要があります。商号は定款記載事項であり(27条)、定款変更には株主総会の決議が必要だからです。また定款変更の承認決議は原則として特別決議が必要となります(309条2項11号)。特別決議とは議決権の過半数を有する株主が出席し(定足数)、その内の3分の2以上の賛成で成立します。この定足数は定款で定めることによって3分の1まで軽減することも可能です(309条2項)。その後商号変更の効力発生日から2週間以内に登記所で変更登記をする必要があります(915条1項)。なおその際に必要なものとして①株主総会議事録、②株主リスト、③会社実印、④代表取締役の実印などが挙げられます。登録免許税は3万円となっております。
商号の文字規制
商号に使用できる文字は①日本語、②ローマ字、③&などの特定の記号となっております。「TANAKA株式会社」というようにローマ字と日本語を組み合わせることも可能です。「&」や「・」、空白、アラビア数字は使用可能ですが「@」やギリシア文字などは使用できません。またカッコ書きで読みがなを付記することや、外国会社のように「CO.,Ltd.」といった表記も使用することはできないとされております。
コメント
本件でソニーは商号を「ソニーグループ株式会社」に変更する予定とされております。今後株主総会特別決議での承認を経て来年4月1日から2週間以内に商業登記を行うことになります。上記のように商号の決め方には一定の制約があります。現在では商号にローマ字やアラビア数字を入れることも可能となりましたが、2002年の商業登記規則改正以前はそれらも使用することができませんでした。また「ャ」「ュ」「ョ」といった文字も使用不可であったため「ジャパン」ではなく「ジヤパン」と表記されておりました。現状かなり制約は緩和されましたが、それでも規制は多く商号設定には注意が必要です。商号は企業の看板であり事業や経営方針を表すものとも言えます。以上を踏まえて自社に相応しい適切な商号を決めていくことが重要と言えるでしょう。
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