タイミーで就業直前に一方的キャンセル?労働者9人が未払賃金求め提訴へ
2026/04/20 契約法務, 労務法務, 労働法全般, 外食

はじめに
タイミーでスポットワークを紹介されたのに就業直前に一方的にキャンセルされたとして、労働者9人が未払賃金などの支払いを求め提訴する方針であることがわかりました。未払分は102万円に上るとのことです。今回はスポットワークに関する労基法上の注意点について見ていきます。
事案の概要
報道などによりますと、9人は2021年10月以降、タイミーのアプリを通じて飲食店などの求人に応募し、マッチングしたものの就業予定日の直前になってキャンセルされたとされます。これにより賃金と交通費分あわせて102万円あまりが得られなかったとのことです。
これを受け、東京や神奈川に住む労働者9人は、未払い賃金の支払などを求めて近く東京地裁に提訴する方針とされています。
9人は「マッチング時点で労働契約が成立しており直前の仕事キャンセルは違法で無効」と主張しており、未払賃金などの他、原告1人あたり10万~50万円の慰謝料も合わせて請求する方針とのことです。
スポットワークとは
スポットワークとは、1日や数時間単位など短時間かつ単発で働く「スキマ時間の労働形態」を言うとされます。一般的にはアプリ等を通じて仕事を探し、継続的な雇用関係を前提としない働き方です。
空いた時間に働けることから時間を有効に使えて便利であり近年急速に利用者が増加していると言われています。一口にスポットワークと言ってもその形態は様々で、雇用契約を伴うアルバイト型や業務委託契約によるギグワーク型といった形態もありますが、一番多いのはスマートフォンアプリによるマッチングを通じた単発型と言えます。
企業側にとっても慢性的な人手不足や繁忙期の一時的な労働力確保に有効な手段となっているとされます。しかし、一方で人材のミスマッチや、直前のキャンセル、セキュリティ面でのリスクなど問題も指摘されています。
スポットワークの注意点
近年スポットワークが急速に普及していることを受け、厚労省では労基法上の注意点を紹介しています。
まず、スポットワークは仲介業者のアプリなどに雇用主が求人を掲載してもらい、それに労働者が応募することによってマッチングされます。その際、労働契約は求人を出した雇用主と労働者の間で直接成立することとなります。
より具体的には、面接等を経ること無く先着順で就労が決定する求人の場合、原則として労働者が応募した時点で双方の合意があったとして契約が成立します。
労働契約が成立した後、雇用主側の都合でキャンセルや仕事の早上がりを命じる場合は所定支払日までに休業手当を支払うことが必要です(労基法26条)。休業手当は平均賃金の60%となっています。なお、雇用主側の故意または過失等により休業させる場合は賃金の全額払が必要です(民法536条2項)。
雇用主によって命じられた準備行為や後始末なども労働時間に該当する可能性が高く、この分についても賃金が発生すると考えられます。また、労働条件通知書などで示された賃金を雇用主が一方的に減額したり、支給するとされていた交通費などを支払わない場合も労基法違反となります。
その他の注意点
スポットワーカーが通勤の途中や仕事中に怪我をした場合でも労災保険給付をすることができます。雇用主は仕事による怪我等の防止のためにスポットワーカーに対して労働安全衛生法等に基づく安全衛生教育の実施や各種措置が義務付けられています。
スポットワーカーが雇用主以外から指示を受けて終業する場合は労働者派遣法に抵触する可能性があるとされています。また、スポットワーク仲介業者の提供するマッチングアプリで、無断欠勤などを理由に無制限のサービス利用停止など、不当に利用を制限された場合には職業安定法にも抵触する可能性があります。
これら以外にもパワハラやセクハラの防止のための労働施策総合推進法などに基づく各種措置に関してもスポットワーカーはその対象に該当しているとされています。
コメント
本件でタイミーのアプリを通じてスポットワークを行っていた労働者9人は就労直前で仕事がキャンセルされたとしています。
上でも触れたように仲介業者のアプリを通じてマッチングされた場合、その時点で労働契約が成立すると考えられることから、求人を出した雇用主側には賃金などの支払義務が認められる可能性は低くないと言えます。
以上のように、スポットワークも通常の正規雇用やアルバイト、パートなどと同様に労働基準法など各種法令が適用されます。特に労働契約の成立時期には注意が必要で、アプリを利用したマッチングの場合は原則として労働者が応募した時点で成立すると言われています。
スポットワークを利用する際にはこれらに留意してトラブル回避を図っていくことが重要と言えるでしょう。
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