一部医薬品のネット販売規制の動向
2013/10/31 薬事法務, 薬機法, その他

【事案の概要】
従来、インターネット等を通じて自由に通信販売されてきた一般医薬品について、新たな規制が設けられる可能性がでてきた。
甘利明経済再生担当相は29日の閣議後記者会見で、一般用医薬品のインターネット販売に関係して、医療用医薬品から切り替えて間もない一般用医薬品について、「今後、効能もリスクも高い物が出てくる。国民の健康、安全には政府としても責任を持たなければならない」と述べ、ネット販売に一定の規制を設ける考えを示した。
これに先立ち、規制改革会議の岡素之議長は、24日の記者会見で、医薬品のネット販売で、一部の薬を禁止する方向で政府が最終調整していることに対し、「対面販売とネット販売で、合理的な理由なしで差をつけることはおかしい」との反対意見を示している。
また楽天の三木谷浩史社長は30日、一般用医薬品の通信販売について、一部品目を国が規制した場合は「100%、司法に訴える」と述べ、反対の姿勢を示している。
【医薬品のネット販売規制に関する法的ルール】
医薬品のネット販売規制のルールに関しては、本年1月11日にケンコーコム株式会社と有限会社ウェルネットの国に対して医薬品販売権確認等を求めて訴えた事件が参考になる。
同事件では、一般医薬品の内第一類医薬品および第二類医薬品の通信販売を一律に禁止する薬事法施行規則は薬事法に違反するとして、原告を勝訴させている。
以下、判断の主な理由となった点を挙げる。
・通信販売は消費者の利便性が大きく、また従来の対面販売に比べて安全性の面でもさほどの違いはない。
・通信販売の規制は、事業者の経済活動の自由を相当程度規制するものである(規制対象となった医薬品は一般医薬品の過半を占めていた)。
・法律上、明確に通信販売を規制する旨の規定は設けられていない。
今後、再び一部品目の通信販売規制が実現され、裁判所で争われることとなれば、上記判例の射程が今回の規制にも及ぶのか注目される。
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