Yチェアの立体商標が認められる!!
2011/06/30 知財・ライセンス, 商標法, メーカー

「Yチェア」の立体商標が認められる!!
デンマークの家具メーカー「カール・ハンセン&サン ジャパン」が、同国のデザイナーの代表作「Yチェア」を立体商標として認めないのは不当だとして、特許庁の審決取り消しを求めた訴訟の判決が知的財産高裁でありました。
同判決は、「特徴的な形状を有し、他社商品と識別することができる」と判断し、原告の請求通り審決を取り消しました。
判決概要
飯村裁判長は
・「美術の教科書にも載っている」
・「ほぼ半円形に形成された1本の曲げ木が用いられ、背もたれ部はY字またはV字のような形をするなど、特徴的な形状を持つ」
・「日本でも10万脚が売れており、1種類の椅子としては際立って多い」
・「一般的に広く知られている」
として、「Yチェア」の立体商標を認めました。
立体商標とはなんぞや!?
商標とは、商品や役務(サービス)につける標章のことををいい、立体的な形状からなる商標のことを立体商標といいます。
そして特許庁に申請し商標権を取得すると、登録商標の使用をする権利を占有し、他人が使用するのを排除しすることができます。
従来、商標権は平面的形状に限られ文字や記号・図形などに対してのみ認められていました。
しかし、商標法改正(平成8年改正)によって立体商標が認められるようになりました。(以前は不正競争防止法により保護された例がありました)
主な立体商標の例
・ヤクルトの容器
・コカコーラの瓶
・ケンタッキーのカーネルサンダース像
・不二家のペコちゃん
・キューピー人形
・ゴルチエの女性型香水瓶
・早稲田大学の大隈重信の銅像
など
立体商標の要件(1かつ2)
1.自他商品識別力を有すること(商標法3条1項各号)
商標の本質的機能である自他商品識別力を有していることが要件の一つです。
すなわち、立体形状のみで特定の商品と認識できることが求められます。
2.不可欠形状でないこと (商標法4条1項18号)
「商品又は商品の包装の機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなる商標」は商標登録を受けられません。
不可欠な立体商標に独占的利用権を与えると、その商品や商品の包装についての生産や販売を事実上独占させる危険を生じさせ、商標法が本来前提とする自由競争そのものを阻害するからです。
コメント
本件の「Yチェア」はその形状が自他商品識別力を有するかという点で上記要件1の該当性が問題になったものでした。
判決は、上述のようにこの要件に該当するとしました。
私は見識不足から「Yチャア」を知らず、画像を見てもよくありそうな椅子だとしか思いませんでした。
しかし、判決が言うように「一般的に広く知られている」上で、10万脚も販売され、特有の特徴を有するのであれば、妥当な結論であったと思います。
「一般的に広く知られている」という事実認定に疑問がないではないですが・・・。
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