アスベスト、原告逆転敗訴判決
2011/08/26   訴訟対応, 民法・商法, その他

1 概要

25日、大阪高裁で泉南アスベスト訴訟の控訴審判決が出た。労働大臣の規制権限行使が国家賠償法1条1項違反にあたるかが争われたが、地裁判決とは一転して原告が敗訴した。

判決は、理由として、「安全確保対策の決定は、産業発展との関係もあり、労働大臣の高度に専門的かつ裁量的な判断に委ねられている」として、労働大臣に広い裁量を認めた。

アスベスト訴訟では、筑豊じん肺訴訟最高裁判決で、通産大臣の権限不行使につき国家賠償法1条1項違反が認められており、今回の大阪訴訟でも地裁では原告が勝訴していたため、勝訴判決を期待していた原告団にはショックが大きかったものと思われる。

筑豊じん肺訴訟最高裁判決との違い

筑豊じん肺訴訟最高裁判決では当時の医学的知見に照らし、通産大臣に権限を与えた鉱山保安法の趣旨・目的に照らし、著しく合理性を欠くとされていた。
今回は、産業保護も考慮しなくてはならない大臣の立場が強調された判決になっており、国の裁量が広く認められた。

雑感

原告団の受けた衝撃は大きいものと思われる。しかし一方で、安全対策が行き過ぎて産業が衰退してしまっても困る。

原告団は最高裁に上告する意向であるようだ。
これからの動きに注目したい。

参考URL
まさか…原告絶句 「不当判決」上告方針 泉南石綿訴訟(朝日どっとこむ)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK201108260021.html
泉南アスベスト訴訟、二審は原告側が逆転敗訴(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819A91E0E7E2E3998DE0E7E2EAE0E2E3E3E2E2E2E2E2E2

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