ニコニコ動画アニメ違法アップロードに見る、「慣れ」の心理
2011/08/25 知財・ライセンス, 著作権法, エンターテイメント

概要
人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズの最新作を公開翌日に動画投稿サイト「ニコニコ動画」に無断投稿したとして、警視庁立川署は23日、著作権法違反(公衆送信権の侵害)容疑で、男を逮捕した。警察庁によると、動画投稿サイトへの動画アニメ投稿が同法違反で摘発されるのは全国初という。
同署によると、男は容疑を認め、「営利目的で投稿したわけではない」などと供述しているという。逮捕容疑は、3月7日~8日、自宅のパソコンから、ニコニコ動画に機動戦士ガンダムシリーズの「ラプラスの亡霊」を無断で投稿、不特定多数の人が見られる状態にしたとしている。
解説
逮捕理由は公衆送信権の侵害である(著作権法23条1項 「著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。」)。著作権者以外の者が、許諾なく写真や映画をwebサーバーにアップロードして、アクセスしてきた者に閲覧できるようにすることなどをさす。
雑感
映画をニコニコ動画に投稿した者が逮捕されたことに引き続き、違法アップロードの定番であるアニメにおいても逮捕者が出た。
違法アップロードで逮捕に至る者は、他にも違法アップロードを繰り返している場合が多い。パソコン操作はボタンを押せば適法・違法にかかわらず、容易に操作が可能である。そのため、違法であると知りつつも、行うことに慣れ、違法であるという意識が薄くなってしまったのだろう。昨日引退した島田紳助氏についても、暴力団関係者とのかかわりに問題がある、との感覚が希薄になり、「慣れ」てしまったのではあるまいか。
普段行ってしまっている行為が思わぬ事態を招く事件は、Twitterによる守秘義務違反の例など、多く発生している問題である。違法行為をあえて意識して行っている場合は除外するとしても、これくらいであれば大丈夫であると考え、普段パソコン等で行っている行為をしてしまうことが誰にでも起こりうる。しかし、その行為が多大な被害を生じさせる危険がある。その危険は、パソコン等の情報機器の発展とともに、増大している。機器の発展に使用者の意識が追いつかないことも原因となっているものの、自己の行為を自ら観察し、行う前に「一歩の間」をおき、「慣れ」から来る感覚の希薄化を防ぐことが必要となろう。
ただ、常に自らを観察することができるとは限らない。そのため、業務の仕組みを作る側の人間にとっては、「一歩の間」をとり、慣れを断ち切る仕組みをいかに作るのかがより重要となってくる。
普段から、違法となりうる行為のケースを発信し、「一歩の間」を生む機会を提供する必要もあろう。
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