クレームに対する企業の対応を考える
2014/12/04 危機管理, 民法・商法, 刑事法, その他

ペヤングソースやきそばに虫??
2014年12月2日、ツイッターにおいて「ペヤングからゴキブリ出てきた。。。」との投稿が写真とともになされた。写真を見ると、しっかり麺に絡まったように見えるゴキブリの姿が見受けられる。この写真は製造過程での混入の可能性が否定できない画像であることもあり、ツイッターのリツイートを通じて拡散し、ネット上で簡単に閲覧できる状態となってしまっている。投稿者によると、12月3日「ペヤングソースやきそば」を製造する「まるか食品」(群馬県)と保健所に連絡し、双方とやりとりをしたと報告している。しかし、同投稿者はまるか食品側の対応に不満も述べており、今後の展開が注目される。
悪意あるクレームか正当なご意見か
そもそも本当にゴキブリがやきそばの製造過程で混入していたのか、故意にイタズラで混入させたのか真相はこれからの調査に任されている。
今回の場合、仮に写真がねつ造であるとすれば、故意に企業価値及び商品価値を下げる「悪意あるクレーム」ということになる。このような場合、企業としては信用棄損罪(刑法233条前段、(商品価値の下落について信用棄損罪が成立した例(最判平15・3・11))ないし偽計業務妨害罪(刑法233条後段)に関する刑事事件として被害届を提出することが考えられる。また、民事訴訟として不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)をすることも考えられる。
他方で、実際に製造過程によるものであるとすれば、正当な「ご意見」として、相手方からの慰謝料請求も視野に入れて、誠実に対応していく必要がある。その際には商品の自主回収など、新たに同様の被害が出ないようにする対策も迅速に取る必要があろう。
コメント
しかし、イタズラか真実かは一概に判断することは困難である。企業側は「あり得ない」と考えていても不測の事態は起こりうる。真実の解明には時間がかかるし、その間に企業価値、商品価値が下落する恐れは大きい。今回のような場合には保健所との連携を取り、誠実に対応することが最優先されると考えられる。特にツイッターのようなリアルタイムで状況を投稿できるツールがある以上、下手をすると企業側の対応自体が企業価値を損なう結果を招きかねない。実際、投稿者も企業側から投稿削除の圧力をかけられた旨の投稿をしており、企業の対応自体が問題を大きくさせている。
SNSの発達で、たった1日あまりで商品、企業の印象は一変する時代であることを認識しつつ企業は誠実に対応していく必要がありそうだ。
関連サイト
- Yahoo!ニュース - 「ペヤング」焼きそば麺に「虫」? ツイッターで画像拡散、メーカー側「考えられない」 (J-CASTニュース)(リンク切れ)→アーカイブ
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