政府中間報告が判明、巨大IT企業への独禁法による規制
2019/04/23 コンプライアンス, 独占禁止法

はじめに
巨大IT企業に対する独禁法上の規制に関する政府案の内容が19日判明しました。24日に公取委、経産省、総務省による検討会でまとめられるとのことです。今回は政府案の概要と現状の問題点について見ていきます。
巨大ITと独禁法
17日発表の公取委の中間報告によりますと、アマゾン、楽天市場などの巨大オンラインモールを利用する取引事業者へのアンケート調査で、利用規約を一方的に変更されたとの回答の割合はアマゾンで約73%、楽天市場で約93%、ヤフーショッピングで約50%となっております。また規約の中に利用事業者にとって不利益な内容が含まれていたと回答した割合は楽天市場で93%、アマゾンで約70%、ヤフーショッピングで約40%でした。公取委と政府ではかねてよりこれらの巨大IT企業が強い立場を背景に取引事業者に不利な条件を押し付ける、いわゆる優越的地位の濫用などが行われているのではないかとの懸念を持っており、規制案が検討されておりました。以下現行法上の問題と政府案を見ていきます。
現行制度上の問題点
いわゆるプラットフォーマーと呼ばれる巨大IT企業とそれらが運営する通販サイトなどを利用する取引業者の間で独禁法違反の疑いが生じても企業間の秘密保持契約等によって調査ができないことが多いとされてきました。独禁法40条では公取委に職務遂行上の必要がある場合に強制調査権限が与えられておりますが、プラットフォーマーへの規制の実効性という点では不十分であると考えられます。またこれら巨大IT企業と取引事業者間の取引の透明性確保のための新たな制度も必要とされております。
政府案の概要
政府の中間報告案で挙げられている新たな法整備のポイントとしてはまず①公取委による巨大IT企業への調査権限の強化です。上記40条調査の活用に加え、取引業者との取引条件の開示や説明義務などをIT企業に課すといった法整備が検討されております。そして②定期的にこれら巨大IT企業のサービス状況などの実態調査を行うことができるようにするとされます。③巨大プラットフォーマーに公正な取引慣行を構築し、市場の透明化に向けて独禁法を補完する新たな法整備を行い、④同時に規制が過剰になりイノベーションの妨げにならないようバランスを配慮するとしています。
コメント
近年IT化が進み、インターネット上では各分野でいわゆるプラットフォーマーと呼ばれる巨大企業が出現してきております。これらの企業の支配力が強くなりすぎると公正や競争や消費者の利益が損なわれる恐れがあると言われてきました。実際にこれらの巨大ショッピングサイトなどを利用する取引事業者ではサイト側から不利益な条件を強制されたり、また一方的に条件の変更や利用料の値上げがなされたといった事例が多いと言われております。これらは優越的地位の乱用など独禁法上の違反行為に該当する疑いがありますが調査が進んでいなかったのが現状と言えます。今回の政府案は早ければ来年の通常国会に提出され法改正が進められる予定です。実現すれば公取委の行政手続きを通じて違反行為に対する取引業者の救済が強化されるものと予想されます。同時にサイト業者側は定期的に報告義務が生じるなどの負担が生じる可能性が高いと言えます。法改正までに現状把握と対策を検討していくことが重要と言えるでしょう。
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