業務用スマホを無断で売却したバンダイナムコエンターテインメントの元社員が逮捕
2024/05/20 労務法務, コンプライアンス, 危機管理, 労働法全般, 刑事法, エンターテイメント

はじめに
ゲーム・トイホビーなどで知られる大手エンターテインメント企業、株式会社バンダイナムコホールディングスの子会社の元社員が、会社が管理する業務用スマートフォン約500台を無断で売却し5400万円を着服したとして、業務上横領の疑いで逮捕されました。
元社員が不正に得た金額は、時効が成立した分も合わせると合計約6億円にのぼるとみられています。
会社の携帯を無断で売却
業務上横領の容疑で2024年5月14日に逮捕されたのは、バンダイナムコグループの中核企業として、ゲームソフトの開発などを手掛ける株式会社バンダイナムコエンターテインメント(東京・港区)の元社員の男(59)です。
2020年、バンダイナムコエンターテインメントが所有するスマートフォン約500台を買い取り店に無断で持ち込み売却し、約5400万円を横領した疑いが持たれています。
元社員は「間違いない」と容疑を認めていて、着服した金はガールズバーでの飲食代や、女性へのプレゼントの購入代金などに使っていたということです。
発覚の経緯は?
会社は2021 年11月に社内の管理システムに登録されているスマートフォンなどのモバイル端末の数と、実際に使用されているモバイル端末の数が異なっていることに気がつき、社内調査を始めました。
そして、2022 年4月、当時業務用の携帯電話の発注や管理を担当していた元社員が関わった可能性があるとして、さらに詳しい調査を実施。
その結果、2015 年4月ごろから2022年4月ごろまでの間、元社員が管理していたモバイル端末のうち 4,400 台以上を会社に無断で売却していたことがわかったということです。
業務上横領罪は時効が7年のため、一部時効が成立しているそうですが、会社の発表によれば、時効が成立した分も合わせて約 6 億円の着服が判明したといいます。
会社は2022年12月20日付で、元社員を懲戒解雇とする処分を下しました。
加えて、翌年1月18日には、元社員に対し、約6億円の損害賠償などを求める民事訴訟を東京地方裁判所に提起し、11月17日に会社の請求を認める判決が下されています(判決確定済)。
この裁判結果を受け、会社は、2023年12月、警視庁に告訴状を提出し、今回の逮捕に至ったといいます。
備品管理を徹底し不正を防ぐ
過去の報道等に照らしても、従業員による職場の備品の持ち帰りや無断売却は、各社で発生しており、実はそれほど珍しいことではありません。
しかし、今回の事件では、約9年にわたって、4000台以上のスマートフォンが売却されていたにも関わらず、会社側が不正に気づくまでに何年も要したことから、SNSなどで、会社の備品管理体制を疑問視する投稿が相次ぎました。
このような、ケースを予防するためには、備品の管理を適切に行う体制づくりが重要となります。具体的には、
①備品管理を、誰が、どれを、どのように行うのか決定する
②備品管理台帳の作成(備品をナンバリングしたり、使用者を記載したりする)
③ルール作り、社内周知
④定期的にチェックする
などの措置が有効です。会社の備品管理においては、一般的に、特に部署移動や退職などのタイミングで備品が適切に返却されないケースが多いとされていますが、こうしたポイントを押さえることで、備品管理を機能させることができます。
コメント
近年のリユースプラットフォームやフリマサービスの発展を受け、社員が会社の備品などを気軽に売却できてしまう環境ができつつあります。
会社としては社員が自社の備品の持ち去りや売却をするはずがないと信じたいところですが、チェック体制が機能していない中では、社員が出来心で不正を行うことも少なくありません。
チェック体制の充実や、入社タイミングでのルール周知の徹底など、不正をさせない環境づくりを目指すことが重要です。
関連コンテンツ
新着情報

- ニュース
- 最高裁、父親の性的虐待で賠償認めず、民法の除斥期間とは2025.4.23
- 子どもの頃に性的虐待を受けたとして40代の女性が父親に損害賠償を求めていた訴訟で16日、最高裁...

- まとめ
- 株主提案の手続きと対応 まとめ2024.4.10
- 今年もまもなく定時株主総会の季節がやってきます。多くの企業にとってこの定時株主総会を問題無く無...

- 業務効率化
- Mercator® by Citco公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 松田 康隆弁護士
- ロジットパートナーズ法律会計事務所
- 〒141-0031
東京都品川区西五反田1-26-2五反田サンハイツビル2階
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号

- 解説動画
奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分

- セミナー
内田 博基 氏(三菱UFJ信託銀行株式会社 執行役員 法務部長 ニューヨーク州弁護士)
藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【3/19まで配信中】CORE 8 による法務部門の革新:三菱UFJ信託銀行に学ぶ 企業内弁護士の力を最大限に活かす組織作りの秘訣
- 終了
- 2025/03/19
- 23:59~23:59

- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード

- 解説動画
岡 伸夫弁護士
- 【無料】監査等委員会設置会社への移行手続きの検討 (最近の法令・他社動向等を踏まえて)
- 終了
- 視聴時間57分