関東財務局、保険金支払遅延のペッツベスト少額短期保険社に行政処分
2022/09/06 コンプライアンス, 保険業法, 金融・証券・保険

はじめに
関東財務局は、2022年8月10日、「ペッツベスト少額短期保険株式会社(法人番号5010001100297)」に対し、保険業法第272条26第1項第4号の規定に従い行政処分を行いました。具体的には、少額でできる短期保険業に係る業務のうち、新規契約の募集や締結、契約更新に関わる事業を停止することを命じたものになります。行政処分が下された理由としては、保険金支払等の遅延が発生し、なおかつ、その解消の見通しが立っていないことが挙げられています。
行政処分が下された背景は?
ペッツベスト少額短期保険株式会社では、同社のペット医療保険および新ペット医療保険に関し、 普通保険約款において、「請求書・必要書類を受領した日より、15日の営業日のなかで、必要な確認をしたうえで保険金等を支払う」旨を定めています。
それにも関わらず、これらの保険に関し、普通保険約款にて定められている期日内に、保険金が支払われていないものが発生していました。これを受けて、関東財務局は、保険業法の第272条の22第1項に基づき、令和3年12月1日付・令和4年3月15日付・令和4年5月25日付の計3回にわたり、支払等遅延の発生原因や解消策の報告を求めていました。
ペッツベスト少額短期保険株式会社から関東財務局に提出された書類には以下の旨、記載されていたと言います。
・保険契約者等からの保険金請求に対する査定手続きにおいて、人員が足りなくなってしまったこと
・保険収支の悪化により保険金等支払遅延が発生していること
・そのため、人員の確保や、保険金等支払い管理態勢などの構築、外部資金調達を行うこと
ちなみに、ペッツベスト少額短期保険株式会社については、令和4年4月の時点で、3,641件もの支払遅延が発生しており、令和4年の見込額は約2億円にのぼっておりました。そのため、関東財務局は、「保険金等の支払管理について重大な問題があり、少額短期保険業を的確に遂行するに足りる人的構成を有しないおそれがある」として、今回の行政処分に先立ち、令和4年6月10日に、保険業法第272条26第1項第4号および第272条の25第1項の規定に基づき、以下の行政処分を行っています。
(1)新契約の募集及び締結並びに契約更新にかかる業務の停止命令
(2)保険業法第272条の25第1項に基づく業務改善命令において、保険金等の支払遅延を令和4年7月24日までに解消することのできる改善策及び支払計画を策定し実行すること
しかし、ペッツベスト少額短期保険株式会社では、その後も、保険金請求に対する適切な査定のための十分な体制構築ができておらず、さらに、資金調達も思うように進まないままとなっています。そのため、「支払遅延を解消するなどの、適切な改善が見られなかった」と評価され、今回の行政処分に至りました。
なお、7月24日時点での保険金支払遅延は4,080件(令和4年見込額約2億円)にのぼり、6月に出された業務改善命令に基づく計画も未達となっています。
コメント
ペッツベスト少額短期保険株式会社は、再三注意されていたにも関わらず問題の改善が見られなかったことで、行政処分の対象になりました。「請求したものの振り込まれない」などのクレームも続いています。公式サイトによると、新契約の募集及び、締結並びに契約更新にかかる業務の停止は、令和4年8月11日から同年10月10日までの期間となるようです(個別に認めたものを除く)。そのため、現在は公式HPでも受付等は一切していない状況です。業務改善による取り組みがどのような形になるのか、10月10日以降の発表によって状況が変わりそうです。
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