【スク・エニ】人気漫画による著作権法違反容疑で家宅捜索
2014/08/07 知財・ライセンス, 著作権法, その他
事案の概要
月刊コミック誌で連載中の人気漫画作品「ハイスコアガール」が別会社のゲームキャラクターを無断使用していた問題で、出版元のスクウェア・エニックスが著作権法第119条1項違反容疑で家宅捜索を受けた。刑事告訴したSNKプレイモアは8月6日、「販売の即時停止を求めたが、何ら誠意ある対応がなかった」などとコメントした。
同作品には今回刑事告訴に踏み切ったSNKプレイモアの他にもカプコン、セガ、バンダイナムコゲームスといった大手ゲームメーカーのキャラクターが登場しているが、各社とも正式にキャラクター使用を許諾していたという。
コミックスの巻末には、問題となったゲームキャラクターを開発した会社名が著作権表示の際に使用されるCマークと併せて記載されていた。
同作品はアニメ化も発表されていた。
コメント
今回著作権法違反容疑で告訴されたスクウェア・エニックスは複数の人気シリーズコンテンツを持つ世界でも有数のゲーム制作・開発会社、出版社である。広報担当者は「著作権侵害という指摘について、事実という認識はない」とするが、自社でも複数のオリジナルコンテンツ有する企業が今回の二次利用に関する知識がなかったとは思えない。
出版業界、特に漫画業界ではパロディといった形で他作品のキャラクターやセリフを連想させる演出がなされることは多い。その際、知名度のある作品や他社の作品を扱うのであれば慎重になるのが一般的ではないだろうか。
もっとも、国内のコンテンツホルダーは著作権について大きく争うといった姿勢ではないようだ。二次利用によるリバイバルヒットの例も少なくないことからもちつもたれつの関係があるとして、作品を貶めるような表現でなければ特に問題視しないのが業界全体の風潮としてある。今回の事件ではSNKプレイモア側が1年前から対応を求めていたにも関わらず何の反応もなかったことが大きな原因であろう。
著作権に関しては境界線が曖昧な部分もあり法への理解や態度に業界によってバラつきがある。これまで通りの業界の曖昧な慣例を元にした二次利用を見直して厳格な態度でこれに臨むといった道も考えられるのではないか。
今回の事件を受けて、大手出版企業が1年間も杜撰な対応を取り続けていたことについて少なからず衝撃を覚えた。企業のコンプライアンスが注目されて数年は経過したがこうした意識が徹底されるには未だ時間を要するのであろうか。
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