取締役会議事録まとめ

第1、はじめに

 取締役会議事録の作成については、総務部が担当している企業もありますが、会社法と密接な関係があることから、法的素養を活かすことのできる場面であり、法務部が作成を担当することもあります。そこで、今回は、取締役会議事録の作成について必要な情報をまとめたいと思います。

第2、取締役会議事録の作成

 書面または電磁的記録をもって議事録を作成します(会社法369条3項、会社法施行規則101条2項)。
cf:電磁的記録
 電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして法務省令で定めるものをいいます(会社法26条2項カッコ書)。
 法務省令では、「磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したもの」と定めています(会社法施行規則224条)。
 具体的には、フロッピー・ディスクや、磁気ドラムメモリ、ICカード、CD-Rなどがこれにあたります。

第3、取締役会議事録の作成時期

 取締役会議事録の作成の時期についても、明文の規定はありません。
 取締役会の備置期間の起算点が「取締役会の日」と定められているところから、取締役会終了後遅滞なく作成することが望ましいといえそうです。
 なお、登記事項に係る取締役会決議が行われた場合には、議事録が登記申請書の添付書類となることとの関係で(商業登記46条2項)、登記申請の期限である2週間以内(915条1項)に間に合うよう作成する必要があります。

第4、取締役会議事録の記載内容

1、日時及び場所(会社法施行規則101条3項1号)
2、当該場所に存しない取締役、執行役、会計参与、監査役、会計監査法人または株主が取締役会に出席した場合における当該出席の方法(会社法施行規則101条3項1号括弧書)
3、出席執行役、会計参与、会計監査人または株主の氏名または名称(会社法施行規則101条3項7号)
4、議長の氏名(会社法施行規則101条3項5号)
5、議事の経過の要領およびその結果(会社法施行規則101条3項4号)
6、利害関係取締役の氏名(会社法施行規則101条3項5号)
7、通常の招集権者による招集以外の招集(会社法施行規則101条3項3号)
(1)取締役などが招集権者に対して招集の請求をし、その請求を受けて招集権者が招集した者であるときはその旨
 ア、取締役(会社法366条2項、会社法施行規則101条3項3号イ)
 イ、株主(会社法367条1項、会社法施行規則101条3項3号ハ)
 ウ、監査役(会社法383条2項、会社法施行規則101条3項3号ホ)
 エ、選定委員(会社法417条1項、会社法施行規則101条3項3号ト)
 オ、執行役(会社法417条2項後段、会社法会社法施行規則101条3項3号チ)
(2)招集請求権者が招集したもの
 ア、取締役(会社法366条3項、会社法施行規則101条3項3号ロ)
 イ、株主(会社法367条3項において準用する366条3項、会社法施行規則101条3項ハ)
 ウ、監査役(会社法383条3項、会社法施行規則101条3項3号へ)
 エ、執行役(会社法417条2項後段、会社法会社法施行規則101条3項3号リ)
8、取締役会において述べられた意見または発言の内容の概要(会社法施行規則101条3項6号)
(1)競業取引および利益相反取引についての重要な事実の報告(会社法365条2項(419条2項において準用する執行役を含む。)会社法施行規則101条3項6号イ)
(2)株主が招集権者に対して招集の請求をし、その請求を受けて招集権者が招集しものまたは招集請求権者が招集した取締役会に出席して述べられた意見(会社法367条4項、会社法施行規則101条3項6号ロ)
(3)計算書類などの承認取締役会における会計参与の意見(会社法376条1項、会社法施行規則101条3項6号ハ)
(4)法令、定款違反事実と認めるときの監査役の報告(会社法382条、会社法施行規則101条3項6号ニ)
(5)必要があると認めるときはの監査役の意見(会社法383条1項、会社法施行規則101条3項6号ホ)
(6)不正の行為もしくはそのおそれまたは法令・定款違反事実もしくは著しく不当な事実があると認めるときの監査委員の報告(会社法406条、会社法施行規則101条3項6号へ)
9、特別取締役による取締役会であるときはその旨(会社法373条2項、会社法施行規則101条3項2号)
10、出席した取締役および監査役の署名または記名押印(会社法369条3項、4項)
cf:署名または記名押印に代わる電子署名
 電磁的記録に記録することができる情報であって、
 ①当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであるを示すものであり、
  かつ
 ②当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであること(会社法施行規則225条1項6号・2項、電子署名法2条1項)。

第5、取締役会議事録の備え置き

 取締役会議事録(書面決議の議事録を含む。)の書面または電磁的記録は、取締役会の日(書面決議があったものとみなされる日を含む。)から本店に10年間備え置けばよく、支店には必要ありません(会社法371条1項)。

第6、取締役会議事録の閲覧・謄写

1、株主は、その権利を行使するために必要があるときは、書面または電磁的記録をもって作成された議事録等を、監査役設置会社または委員会設置会社においては、裁判所の許可を得て、閲覧または謄写の請求をすることができます(会社法371条2項・3項)。
2、取締役会設置会社の債権者は、役員(会社法329条1項)または執行役の責任を追及するための必要があるときは、裁判所の許可を得て、議事録等の閲覧または謄写の請求をすることができます(会社法371条4項)。
3、取締役会設置会社の親会社の株主その他の社員(会社法31条3項)は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、議事録等の閲覧または当社の請求をすることができます(会社法371条5項)。

第7、取締役会議事録作成に関する行政罰

次の場合は、代表取締役が100万円以下の過料に処せられます。
1、議事録に記載すべき事項を記載または記録しなかったり、虚偽の記載または記録をしたとき(会社法976条7号)
2、議事録を備え置かなかったとき(会社法976条8号)
3、正当な理由なく議事録の閲覧もしくは謄写またはその謄本もしくは抄本の交付等を拒んだとき(会社法976条4号)
4、登記をしなかったとき(会社法976条1号)

第8、概括

 以上見てきましたように、取締役会議事録の作成については、会社法の規定が密接に関係してきます。そこで、取締役会議事録の作成担当者は、会社法の規定を整理し、必要な記載を漏らさないための議事録の雛形を用意しておくことが有益といえそうです。記載例をご紹介いたしますので、参考にしていただければ幸いです。

第9、記載例

取締役会議事録
取締役会議事録(株主総会招集決定)

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約1年8ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
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[著者情報] akaishisawa

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■登島 和弘
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中央大学法学部法律学科卒
立命館大学法務研究科修了
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外資系法務本部長、駒澤大学法科大学院、国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師
元Apple Japan法務本部長、元伊藤忠商事法務部、元Temple Law School日本校客員教授。上智大学法学部、Georgetown Univ. Law Center卒

編著:『ライセンス契約のすべて 実務応用編』(編著、第一法規、2018年)、『ライセンス契約のすべて 基礎編』(編著、第一法規、2018年)、『ダウンロードできる 英文契約書の作成実務』(編著、中央経済社、2018年)など、著作・論文多数

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