公式SNSによるトラブルと対応まとめ

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1 はじめに

 最近、様々なSNS上に公式アカウントをもつ企業が増えています。製品やイベント等についての宣伝・広告効果が望めるほか、企業イメージの向上にもつながっています。一方で、2017年7月には、企業の公式アカウントが他社製品を批判したことによって当該アカウントの閉鎖に発展するという事態も生じています。そこで、本記事では企業の公式アカウントをめぐる法的なリスクと対応についてまとめます。本記事の最後にはSNS投稿の際に使えるチェックリストがついていますので、ぜひご活用ください。

2 リスク

 SNSにおいて発信された情報は世界中に広がることになります。そして、インターネット上に一旦書き込まれた情報を完全に削除することは事実上不可能といえます。したがって、生じうるリスクも多種多様です。今回は情報発信における問題点に絞って、考えられる問題と主要な法律関係について見ていきたいと思います。

2-1 情報漏えい

 一番に想起されるのは、自社の情報漏えいの危険性です。意図して発信した内容が情報漏えいに当たるという場合も考えられますが、PC画面や机上の飲食物など別のものを撮影した画像の中に内部文書の一部が写っているといったケース、画像に含まれる位置情報から担当者の所在地を知られてしまう場合など、まったく意図しない形での漏えいの危険も考えられます。
自社の重要な情報が漏えいするだけでなく、情報の内容によっては第三者から損害賠償請求を受ける可能性もありますので、注意が必要です。

<参考記事>
「どう防げばいいのか? SNSによる情報漏えいが増えている」(ITmediaビジネス)

2-2 名誉棄損

 SNS上の書き込みが名誉棄損に該当してしまうという危険性もあります。他社製品を批判ないし値踏みするような投稿は「個人の感想」という注意書きがあったとしても、企業の公式アカウントを利用して行うべきではないでしょう。製品の製造元会社から民事上の損害賠償請求(民法723条)を受ける危険性があります。

<参考記事>
「SNSへの投稿でも名誉棄損になりうる?どんな場合に名誉棄損にあたるかを解説」(法律情報サイトALG+)

2-3 比較広告

 また、他社製品と自社製品とを比較するような文言を使うと、景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)に違反する可能性があります。景品表示法5条1項は、自己の供給する商品又は役務の取引について、「商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる」表示をしてはならないと定めています。

「(PDFファイル)景品表示法」(消費者庁HP)

「比較広告について」(消費者庁HP)

2-4 著作権違反

 画像等を投稿する際にも、自ら撮影したもの以外を用いる場合には著作権の問題を生ずるおそれがあります。著作権フリーの画像や素材を利用するなどして、著作権侵害にならないよう注意する必要があります。

<参考記事>
「『あれもこれもダメ』ではダメ――弁護士と企業法務が語る『ストックフォト』」(ITmediaNEWS)

3 おわりに

 以上のような危険を回避するため、「ソーシャルメディアポリシー」を策定し、普段から(個人のアカウントも含めた)SNSの利用についての社員教育を進めておく必要があります。加えて、公式アカウントを新設する場合には、アカウントの実際の運営を行う担当者の事前教育が大切になります。個人のSNSアカウントでは黙認されるような事態でも、企業の公式アカウントが行った場合には許されないことも少なくありません。上記リスクを踏まえて適切な事前指導を行う必要があります。以下のチェックリストを参考に、投稿者は毎回必須項目についてチェックしてから投稿をするといったルールを作っておくとよいでしょう。

<参考記事>
「企業のソーシャルメディアポリシー作成に役立つ25のベストプラクティス」(SEOジャパン)

【今日から使える! 投稿前のチェックリスト】
 そのつぶやき、
未発表の製品情報や顧客データなど、社外秘の情報が含まれていませんか?
□画像の中に書類、PC画面、反射物への写り込みなど、意図したもの以外が写り込んでいませんか?
□SNSの位置情報に関する設定がOFFになっていますか?
他社製品の批判など、誰かの評価を傷つけるような内容が含まれていませんか?
□自社製品の紹介をする場合に、他社製品と比べるような言葉を使っていませんか?
□画像は自分で撮ったもの、もしくは著作権フリー素材ですか?

 (文責: tanioka)

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約2年5ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
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[著者情報] tanioka

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永島 太郎
内田・鮫島法律事務所 弁護士

2006年03月 北海道大学獣医学部卒業/獣医師国家試験合格
2006年04月 農林水産省 入省(2008年3月まで)~動物・畜産物の輸出入に係る許認可業務に従事
2008年04月 京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻 入学(未修者枠)
2011年03月 京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻 修了
2011年09月 司法試験合格/11月 司法研修所 入所
2012年12月 第一東京弁護士会登録(新65期)
2013年01月 大塚製薬株式会社 入社(2017年1月まで)~医薬品に係る国内外の契約業務、会社設立等の資本・事業提携業務等に従事
2017年02月 弁護士法人内田・鮫島法律事務所入所 この著者の記事一覧へ
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大阪教育大学附属高等学校池田校舎卒業
大阪大学法学部卒業
大阪大学大学院法学研究科修士課程修了

2003(平成15)年04月
司法研修所入所(57期)
2004(平成16)年10月
大阪弁護士会に弁護士登録 当事務所入所
2008(平成20)年04月 - 2010(平成22)年9月
大阪大学高等司法研究科(ロースクール)非常勤講師
2011(平成23)年04月 - 2012(平成24)年03月
大阪弁護士会 常議員
2017(平成29)年07月 - 現在
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大阪弁護士会 高齢者・障害者総合支援センター運営委員会委員
大阪弁護士会 男女共同参画推進本部委員
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和田 圭介
略歴:
愛知県春日井市出身
愛知県立旭丘高校卒業
2004年 京都大学法学部卒業
2005年 弁護士登録(58期 第二東京弁護士会)
クリフォードチャンス法律事務所外国法共同事業入所
2008年 フランス系ラグジュアリーブランド日本支社(出向)
2010年 アメリカ、Duke University School of Law(法学部)LLM卒業
2010年 クリフォードチャンス香港オフィス(出向)
2011年 日系の大手財閥系総合商社のイギリス子会社の法務部(出向)
2013年 ニューヨーク州弁護士登録
2015年 IBS法律事務所開設(愛知県弁護士会に登録換え)
2017年 オリンピア法律事務所 パートナー
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