株式上場手続きまとめ
2017/02/08 商事法務, 会社法, その他

初めに
人気ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営する、ほぼ日(東京・港)が東京証券取引所に上場申請したことが6日、分かりました。早ければ3月にも新規上場する見通しとのことです。糸井重里氏の「ほぼ日」、3月にも上場 東証に申請 (出典 日本経済新聞)
そこで今回は上場するにはどのような準備をするのかについてまとめてみました。新規株式上場とはIPOとも呼ばれ、未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場し、上場会社になることを言います。
株式上場のメリット・デメリット
株式上場のメリットについては、資金調達力の向上、株式流通性の拡大、知名度の向上、社会的信用力の増加、経営管理体制の確立などがあげられます。
株式上場のデメリットについては、企業内容開示義務、コスト増大、遵守法令の拡大、外部経営者の参画、買収リスク増大などがあります。
IPOのメリットとデメリットについて(出典 株式会社TKC)
株式上場のスケジュール
会社の規模や業種、業績、株式市場の業況などによりますが、会計監査の必要年度数から3年から4年は要することが多いようです。上場スケジュール(出典 日本取引所グループ)
上場申請をする日が属する年度を「申請期」、その前の年度を「直前期」、さらにその前の年度を「直前々期」といいます。
直前々期よりも前に行うこと
まず上場準備として行う項目として監査法人の選定をします。2事業年度の会計監査が必要となるため、上場申請する3年以上前(直前々期より前)の期に監査法人からショートレビューという調査を受けます。監査法人が行うショート・レビューとはどのようなものでしょうか?(出典 EY Japan)
ショートレビューに必要な事前書類についてはこちら ショートレビュー(短期調査)とは
直前々期に行うこと
次に直前々期に行うこととしては経営管理体制の整備と、主幹事証券会社の選定です。
経営管理体制の整備とは、社内規程の整備、経理(主計)部門と財務(出納)部門の分離、取締役会の適切な運営、 内部監査の実施、予算実績管理、その他の項目の整備などをすることです。
Vol.18 上場に備えて社内管理体制を整備! Vol.19 上場に備え、取締役会・内部監査などを見直す(出典 DREAMGATE PROJECT)
社内管理体制の整備: いかに内部牽制を機能させるか (出典 GLOBIS)
主幹事証券会社とは、通常株式公開時に申請会社に関与する幹事証券は、5~8社程度になりますが、その内公開申請するにあたり『推薦者』として一番責任のある立場を担う証券会社のことです。主幹事証券会社の役割一覧(出典 株式公開入門NAVI)
直前期に行うこと
直前期に行うこととしては上記で改善した体制や仕組みを運用してその有効性を確認する運用期間となります。上場審査では、「企業の継続性および収益性」および「企業経営の健全性」といった観点から、会社が利益を生み株主に利益を還元する収益構造を有しているか、また企業のコーポレートガバナンス及び内部管理体制の有効性の観点から、その利益を確保するための経営管理制度が適切に整備されているかについて確認されます。第6章 経営管理制度の整備・運用(出典 EY Japan)
申請期に行うこと
申請期に行うこととしては上場後の株主総会を意識し、コンプライアンスに留意した株主総会、定款変更(株式譲渡制限の廃止、株主名簿管理人の設置、官報以外の公告方法の選定、会計監査人、監査役会の設置 単元株制度の採用など)申請書類を作成して取引所に申請を行い、上場審査を受けることなどがあります。
株式公開日程別-申請期(出典 株式会社イーコンサルタント)
法務担当者が行うこと
以上の中で法務担当者が主に行うこととしては内部統制制度の構築、社内体制整備の整備、社内規定の明確化、上場申請書類作成などです。
内部統制制度(出典 株式公開入門NAVI)
社内体制(出典 株式公開入門NAVI)
上場申請書類(出典 株式公開入門NAVI)
公開までのスケジュールと法律上の課題(出典 DREAMGATE PROJECT)
最後に
株式上場はその準備から3年以上かかり、多くの人が関わる出来事です。審査が通らないとすれば上場時期が後ろ倒しになることもありますので、注意が必要です。
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