TDK・日本発条による価格カルテル報道 ~カルテルとは何か~

 先日、大手電子部品メーカーの「TDK」と自動車部品メーカー「日本発条」との間で価格カルテルが結ばれている可能性があると報じられました。
 公正取引委員会は、この2社に対して、立ち入り検査を実施しているとのことです。
NHKニュース

 カルテルという言葉は、比較的聞きなれたものと思われます。
 しかし、具体的にどういうものがカルテルに当たるのかわからないという方も多いはずです。そこで今回は、カルテルとは何なのか、具体的にいかなる場合がカルテルに当たるのか、といった点を見ていきたいと思います。

・カルテルとは
 カルテルとは、公正取引委員会によると「複数の企業が連絡を取り合い、本来、各企業がそれぞれ決めるべき商品の価格や生産数量などを共同で取り決める行為」と定義されています。
公正取引委員会ページ

 カルテルが結ばれると、企業間での価格競争が行われなくなり、企業に有利な価格が定められます。その結果、消費者は不当な価格で商品等を購入しなければならなくなります。

・カルテルにあたる場合とは
 例えば、旅行業者数社ががとある市立中学校の修学旅行に際して、バス代金や宿泊費、添乗員費用などについて予め価格基準を設定した場合、中学校側としては、業者が定めた基準以上の価格を支払う必要があり、高額な費用がかかりかねない状況にあるといえます。このような企業間の取り決め行為によって、市場の動きが停滞し、消費者が不当に高価な費用を支払うような場合、その取り決め行為は、カルテルに該当します。この事例は、以下のページに記載してあります。
公正取引委員会ページ

・今回の報道の場合
 先に紹介した大手電子部品メーカーである「TDK」と自動車部品メーカーの「日本発条」の事案は、ハードディスクに使用する部品を、ハードディスクを作っている日本の企業とアメリカの企業に納入する際、上記2社が当該部品の納入価格を不当に引き上げた疑いがあるというものです。
 独占禁止法は、「公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにする」という目的を有しています。カルテルは、独占禁止法で規定されているものですから、当然「公正かつ自由な競争を促進する」という観点も重要となってくるのです。今回の報道の場合、価格の引き上げよって、部品を使用するユーザー企業は不当な価格で部品を購入することになるほか、上記2社以外の部品製作会社の市場介入を妨げていることとなります。したがって、今回の報道においても、カルテルにあたる可能性が高いといえます。 

・考えられる対応策
 では、自社がカルテルを行わないためにはどうすべきでしょうか。
 カルテルは、企業間の合意や連絡によって成立するものですので、コンプライアンスの構築が有効な対策といえます。具体的にはコンプライアンス部門の強化や企業間会合時における会合内容の制限といったものが挙げられます。
経済産業省コンプライアンスの取り組み(PDFファイル)

 また、最近では、リーニエンシーという制度も登場しています。リーニエンシー(課徴金減免制度)とは、カルテル合意に関与してしまった企業が公正取引委員会に調査協力等をすることにより、課徴金の免除・減免が行われるというものです。もっとも、この制度は、カルテル発覚後の対応策といえるので、企業にとっては「カルテルの防止策」とはいえないように思われます。
企業のカルテル対策と課徴金減免制度 法と経済のジャーナル

・最後に
 以上見てきたように、カルテルは、企業間の合意によって成立するものですから、各企業が公正に業務を意識が最も重要であり、必要となってくるものといえます。

企業法務ナビよりお知らせ
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[著者情報] obara

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平成16年 公認会計士試験(旧第2次試験)合格
平成18年 慶應義塾大学経済学部卒業
平成22年 あずさ監査法人退所
平成25年 中央大学法科大学院修了
平成26年 弁護士登録(東京弁護士会)
平成27年 中央大学法科大学院実務講師就任
平成30年 弁護士法人L&Aにパートナー弁護士として参画

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1992年 京都大学法学部卒業
1994年 大阪弁護士会 登録 梅ケ枝中央法律事務所 
2000年 ハーバードロースクール 修士課程(LL.M)卒業
Masuda Funai Eifert & Mitchell 法律事務所(シカゴ)
2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
「アメリカのP&A取引と連邦預金保険公社の保護 債権管理 No.96」金融財政事情研究会
「米国インターネット法 最新の判例と法律に見る論点」ジェトロ 共著
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