株主総会もリモートで!

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1.はじめに

3月は、12月決算を行う企業の定時株主総会が開催される時期です。上場企業だけでも、12月決算の企業は453社あり、そのうちの452社は3月に株主総会を開催することとしています。しかし、新型コロナウイルスの影響により、多くの人が集まるイベントの開催について検討することが政府により要請されている状況です。そのため、多くの株主が出席することが予想される株主総会の開催にも影響が出るであろうと想定されます。加えて、コロナウイルスの収束時期が見えない現状を考えると、3月に開催される株主総会のみならず、株主総会が集中する6月に開催される株主総会にも影響が出ることが予測されます。

※参照:
「バーチャル開催」は株主総会の新潮流になるか(東洋経済)
イベントの開催に関する国民の皆様へのメッセージ(厚生労働省)

2.株主総会を延期することはできるの?

法律上、株主総会を延期することは可能です。
定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない(会社法296条1項 )という規定により、株主総会の開催が義務付けられています。そして、基準日から3ヶ月以内に株主は議決権を行使することができます(同法105条3号、124条2項)。多くの上場会社は基準日を決算月末日としているため、決算月の3か月後に株主総会が開かれることが慣行になっています(例えば、12月決算の企業であれば3月に開催、3月決算の企業であれば6月に開催)。しかし、新型コロナウイルス感染症に関連し、当該基準日から3か月以内に定時株主総会を開催できない状況が生じたときは、会社は、新たに議決権行使のための基準日を定め、当該基準日の2週間前までに当該基準日及び基準日に株主が行使することができる権利の内容を公告することによって、開催を延期することが可能です。

※参照: 
株主総会っていつ開催されるの?(日本証券協会)
定時株主総会の開催について(法務省)

3.株主総会のオンライン開催にあたって検討すべき、メリットとデメリット

とはいえ、基準日を変更して株主総会の開催時期を延期してしまうと、様々な弊害が予測されます。例えば、配当などの関係において株主の利益が損なわれることが生じえます。そのため、株主総会の開催時期を延期すること困難であることが実情です。
そこで、株主総会の開催を会場のみならず、オンラインという手段も併用して行うことが考えられます。すなわち、株主がインターネット上のWebシステムを通して、株主総会に出席することができる仕組みです。以下、オンラインで行う際の、メリットとデメリット、そしてデメリットに対する解決策を述べていきます。

・メリット
①開催するにあたって、参加者が密集することによって生じる感染リスクを考える必要がないこと
②オンラインによる出席者が増えると、会場代を節約できる。
③当日の会場設営や受付などに必要な、人件費を節約できる。
④出席方法の多様化を認めることで、株主を重視していることをアピールできる。
・デメリットとその解決策
①参加者の本人確認の問題
→顔認証システムの利用、ID・パスワードを通知してのログインを通して解決
②通信障害により議決権行使ができなくなってしまうなど、株主の意思決定を表明する機会の確保が困難になりうること
→通信速度、OS やアプリケーション等や、アクセスするための手順についての通知
 これらの手段で、通信障害が起こる可能性を排除することによって解決
③①、②などを理由とした、株主総会の決議取消の請求(831条1項各号)がなされうること
→以上に挙げた解決策を施すことで、オンラインであっても「出席」といえる状況を作り出し、取消事由に該当する瑕疵がないことを主張できる

以上の点については、経済産業省が発表した実施ガイド(3つ目の引用、11~14ページ参照)を参考にして記載しました。実際に、このガイドを参考にして、富士ソフト株式会社はネットでも参加できる株主総会を開催しました。株主がアプリを操作して総会の議案の賛否を表明できるよう工夫したとのことです。ぜひ、株主総会を準備される企業の法務・総務部員の皆様におかれましても、ご参考いただければと思います。

※参照:
アングル:総会開催で苦悩する企業、感染対策で「バーチャル」に弾みも(ロイター)
37.5度以上、入場お断り 新型肺炎の拡大阻止へ―株主総会(時事通信)
ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド(経済産業省) 
感染予防で「バーチャル株主総会」 自宅からネットで参加(NHK NEWS WEB)
経産省、株主総会ネット参加に指針 当日議決権行使を後押し(Sankei Biz)

4.コメント

多くの企業にとって、株主総会のオンライン対応については新たな取り組みであると考えられます。そのため、対応策に苦慮される場面もあるかと思います。しかし、技術的な側面を通して乗り越えられる問題が多いのではないかと思います。この取り組みを通して、株主総会への参加の選択肢が増えることで、より多くの株主が参加できるようになります。そして、株主総会の目的である企業と株主・投資家が建設的な対話を行うことの実現に近づくのではないでしょうか。

※参照:
「ハイブリッド型バーチャル株主総会の実施ガイド」を策定しました(経済産業省)

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[著者情報] hkishi

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2000年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画
2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。
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